

巨人・坂本勇人が「生涯ジャイアンツ宣言」で通算3千安打が見えてきた。今月6日に東京都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の5億円でサイン。昨オフに5年の複数年契約を結んだことを公表した。3年目まで年俸5億円の固定で、4年目以降は変動制となる。契約満了は2023年シーズンで、
「ジャイアンツで最後までプレーしたい気持ちを持っています」
と語った。
坂本のこの発言は、日本球界にとっても朗報だ。今オフは同僚の山口俊、広島・菊池涼介、西武・秋山翔吾がメジャー挑戦の意向を表明した。さらに、日本ハム・西川遥輝、有原航平、ソフトバンク・千賀滉大も将来のメジャー挑戦を熱望。日本球界のスター選手がメジャーへ大量流出するのは避けられない流れになっている。
ある強豪高校の指導者は、こう語る。
「一昔前とは違い、今の高校生たちは米国への距離が近くなっている。田中将大投手、ダルビッシュ有投手らがメジャーで活躍している姿をテレビで見ている。プロ野球が最終目標ではなく、プロ野球を経てメジャーで活躍を目指す子が多い」
海外流出に歯止めをかける最も効果的な方法が、国内でプレーして金字塔を打ち立てるスーパースターの誕生だ。坂本はその可能性を秘めている。今季は打率3割1分2厘、40本塁打、94打点。申し分ない活躍で主将就任後初のリーグ優勝を果たし、最優秀選手(MVP)も獲得した。
名球会入りの2千安打まで残り116本だが、通過点に過ぎない。日本野球機構(NPB)史上、通算3千安打をマークしたのは東映、巨人、ロッテで活躍した野球評論家の張本勲氏のみ。坂本はこの記録を狙える位置にいる。
レギュラーを獲得したプロ2年目の08年から、1シーズン平均157安打を放っている。14日に31歳を迎える現在まで積み上げた安打数は計1884安打。シーズン150安打ペースで今後も打ち続ければ27年シーズンに通算3千安打に到達する。卓越した打撃技術で急激に衰えることは考えづらく、日本球界でプレーし続ければ達成可能の数字だろう。
怖いのは持病の腰痛だ。再発すると長期離脱の恐れがあり、チームにとっても大きな痛手になる。現在は守備の負担が大きい遊撃を守っているが、将来を見据えると腰や下半身の負担を考えて三塁、一塁などのコンバートも検討しなければいけないかもしれない。坂本は契約更改の席で、
「自分に対しても可能性を感じられた。キャリアハイを目指して頑張りたい」
と誓った。球史に名を残すバットマンがどのような進化を遂げるのか楽しみだ。(梅宮昌宗)
※週刊朝日オンライン限定記事