12月9日に56歳の誕生日を迎えた皇后雅子さまが宮内庁を通じて感想を公表した。即位関連の行事で多くの国民から祝意を受け、「思いがけないほど本当に温かいお祝いを頂きました」と振り返り、「嬉しく、またありがたく思いながら過ごしてまいりました」「各地で出会った沢山の笑顔がかけがえのない思い出として心に残り、これからの歩みを進めていく上で、大きな支え」などとつづった。長年にわたり雅子さまの実像に迫ってきた唯一のジャーナリスト、友納尚子氏がその軌跡を寄稿した。
【写真】12月3日に武蔵野陵を参拝したロングドレス姿の皇后さま
「ご体調が優れないご様子」
12月6日夕、皇后雅子さまの56歳の誕生日(9日)を前に、宮内庁が突然行った発表だった。
宮内記者クラブ内にはざわめきが起こった。
「この日は皇后さまのこの一年間を振り返られたお気持ちの文書が配られる予定でしたが、皇后さまのご体調から2日後に延期になるということでした」(宮内記者)
映像の公開とその説明だけは行われたが、皇后雅子さまの具体的なご様子については説明がない。各社の記者は独自の取材に追われた。
「実際には、ご体調がものすごく悪いというよりもお疲れが残っている中で、皇后陛下としての初めての文書を考えられるのに、時間がかかっているようでした。2日後の誕生日前日には、文書が配られるということで、安心したのです」(同)
毎年、誕生日に合わせて発表されていた「東宮職医師団見解」の文書も“東宮職”が外れて「医師団見解」として、その日の夜に急遽(きゅうきょ)発表された。
文書はA4の1枚──。
治療については、<皇后陛下には、依然としてご回復の途上にあり、波がおありです。そのため、大きい行事の後や行事が続かれた場合には、お疲れがしばらく残られることもあります>と継続して行われていることが示されていた。
記者の中には、医師団による治療の回数が減っていることから、完治とは言わないまでも具体的な治療は必要がなくなったという文言が飛び出すのではないかと期待した人もいた。だが、実際には昨年とあまり変わらない内容に、ご病気の根の深さを感じた人もいた。
雅子さまが皇后になられてから外国の賓客を迎える行事や即位関連の儀式の務めをすべて果たされていることについては、<様々な工夫を重ねながらご体調を整えられるなど、皇后陛下のご努力によるところが大きいと考えております>。
今年5月に天皇陛下が即位されてからは、皇后雅子さまは即位礼正殿の儀や大嘗祭、神宮に親謁の儀など即位に伴うすべての諸行事を務められてきた。
さらに、6月に愛知県、9月には秋田県、新潟県、茨城県へ行幸啓されている。