11月9日、天皇陛下の即位を祝う「国民祭典」が皇居前広場で開かれ、約3万人(主催者発表)が集まった。アイドルグループ「嵐」がお祝いの歌を披露し、祭典がクライマックスを迎えると、雅子さまが涙ぐむ場面もあった。
君が笑えば世界は輝く
誰かの幸せが今を照らす
二重橋に立つ天皇陛下と皇后雅子さま。陛下の隣でほほ笑みながらも、口元にきゅっと力を入れているようにも見える。
アイドルグループ「嵐」が歌うのは、この日のためにつくられた奉祝曲「Journey to Harmony」である。 歌詞に「ひとしずく」「水」「大河」と水に関連した言葉が盛り込まれているのは、陛下のライフワークである水の研究を意識したものだという。
大丈夫 君と歩いてゆこう
「嵐」が、最後のフレーズを情感たっぷりに歌いあげると、ステージの照明が落とされ皇居前広場は静寂に包まれた。
うなずきながら天皇陛下と短い言葉を交わしていた雅子さまは、さっと顔を戻し、笑顔を広場のほうにむけた。目線の先には、ちょうちんと日の丸を高く掲げ、皇居前広場を埋め尽くさんばかりの人びとの姿がある。
国民に受け入れられたと実感し、感極まったのだろうか。頬に流れる涙を、雅子さまは、右手ですっとぬぐった。
朝日新聞によると、おなじとき、長女の愛子さまもおしのびで訪れ、皇居正門付近から、祭典を見守っていたという。
雅子さまが「嵐」の歌の終盤で、涙をぬぐうドラマチックなシーンは、皇居前広場を感動に包んだ。
皇居前広場は、いつの御代でも時代を映す舞台である。そもそも、天皇陛下の即位を祝う祭典に、アイドルや芸能人が立つのは、いつからだろうか。
昭和天皇の在位50、60年は政府主催の式典が日本武道館や国技館で行われただけだった。在位60年のときは、昭和天皇が二重橋まで出て、皇居前広場に集まった人たちに答えた。
広場に新しい風が吹いたのは1999(平成11)年のこと。明仁天皇の即位10年を祝う「国民祭典」が、政府の式典とは別に、開かれたのだ。主催は、日本商工会議所会頭を会長とする民間の「奉祝委員会」と超党派の国会議員連盟(森喜朗会長)だった。