「小池さんは一生懸命、札幌開催に反対しているが、そりゃ来年の選挙を前にすれば『戦います』と言うしかないよ。税金使って五輪を招致したんだからね。森さんが(10月)11日に聞いていて、15日に小池さんが知ったとも言われるが、ありえないよ。小池さんは、反発しておいて折れる形で恩を売って選挙では自分をということ。そこがうまいんですよ。悲劇のヒロインって格好をするのがね」
政治もからんだ「札幌開催」変更のようだが、選手や監督たちは神経質だ。五輪代表に内定した選手を指導するある監督も札幌案に当初「いまさらという感じ」と批判的だったが、すぐに「決められた所に合わせて調整してゆく」などと発言を変更した。
札幌ドームの発着は改修に費用がかさみ、国際大会の北海道マラソンで実績がある、大通公園を発着地とするコースが検討されるが、観戦チケット代は取れず減収だ。札幌開催でかかる費用について小池氏は「都民の税金を別会場に使いません」と発言しており、IOCが持つ方向。
IOCは、ドーハでの陸上の世界選手権で棄権者が相次いだような事態が東京で起き、真夏開催に批判が噴出することを恐れた。1984年のロス五輪からの「稼ぐ五輪」において、米国では秋は大リーグやアメフトのトップシーズンで五輪の視聴率が落ち、放映権料が激減するため真夏を「死守」する。「選手第一」を隠れみのにした「マネー第一」五輪だった。(粟野仁雄)
※週刊朝日 2019年11月15日号