中国への逃亡犯条例に端を発した、香港の抗議デモはすでに100日を超えた。今もバン、バンと乾いた催涙弾の発射音が繁華街に響く。周囲には、真っ白な煙があがり、逃げ惑い、倒れる人も大勢いた。現地で取材すると、デモというレベルではなく、まさに「市街戦」。イギリスの植民地として栄え、中国に返還された香港とは信じがたい光景だった。
【動画あり】まさに「市街戦」と化した現地の緊迫した様子を緊急リポート!
9月29日日曜日午後、中国の建国記念日「国慶節」を前に、香港で大規模なデモがはじまった。
香港で指折りの繁華街、銅鑼湾に香港政府に抗議するために集まった市民。デモを封じ込めようと、ものものしい警備体制を敷く香港警察が激突した。市民が「市民革命 光復香港」とコールをあげて、道路を占拠してゆく。すると、警察が70歳くらいの白髪の男の老人をいきなり、路上に押し付け結束バンドで縛ってゆく。「助けてくれ」と老人が声をあげると、市民が警察に詰め寄り、現場は大混乱した。
繁華街のメインストリートにデモ隊が集結して、大通りの道路を完全の「制圧」。すると、警察は市民にペッパースプレーを浴びせる。取材していた私の首筋にスプレーがかかった。強烈な刺激が走る。それでもデモ隊の抗議が収まらないとみるや、警察は「警告 催涙煙」と大きな旗を掲げる。そして、ほどなくライフルを構えた警官隊から催涙弾が2発、3発と発射された。催涙弾の威力は強力だ。ゴーグルに防毒マスクをつけて取材の臨んだが、涙で目がしびれ、前が見えない。
逃げ惑う人々の影がうっすら浮かぶくらいの中、懸命にシャッターを切る。催涙弾の煙から脱出。だが、目がつぶれるのかと思うほどの痛みだった。
そこに、香港市民の救護隊が駆け寄ってくれ、目を洗浄してくれた。周囲には、催涙弾攻撃で身動きができない人が続出していた。うめき声をあげる人もいる。そして、催涙弾攻撃から脱出した市民たちは、ひるむことなく警察に立ち向かう。
デモがはじまり2時間半ほどして、デモ隊の中核メンバーとおぼしき若者たちが国連を先頭に、アメリカ、イギリス、日本などの国旗を掲げて行進。大勢の市民も駆け寄り、大きな声援を送る。すると、警察はまたもや、催涙弾をデモ隊に発射した。今度は負けじと、デモ隊は暴徒と化して、地下鉄の駅に火炎瓶を投げつける。大きな炎があがるたびに、歓声があがる。さらに、デモ隊は一体となって催涙弾を発射する警官隊を包囲しようと2方向から詰め寄る。