

かつてドラマでソムリエ役を演じて以来、ワインにハマっている稲垣吾郎さん。作家・林真理子さんの故郷、山梨のワイナリーを巡りながらお二人が対談しました。
※前編【1万円のワインは高い? 稲垣吾郎が飲んできたワインがマジ、スゴイ】より続く
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林:私がいつもうちに常備してるのは、「オーパス・ワン」(カベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたブレンドで、フルボディーのカリフォルニア高級ワイン)のセカンドラベルの「オーヴァーチュア」。1万5千円ぐらいで、ちょうど良い価格帯で、おいしいのよね。人のうちに行くときは、何も考えずにこれって決めてます。そういうワインを決めておくと、いざという時に便利ですよ。
稲垣:なるほど。「オーヴァーチュア」はいいですよね。下手したら、「オーパス・ワン」よりおいしい年もあるぐらいで。名前で高くなっちゃうワインもありますしね。
林:そうそう。
稲垣:昔、シャトー・ラトゥール(1855年の格付けで第一級格付けに選ばれたボルドー5大シャトーのひとつ)の人から聞いたんですけど、ワイン造りの担当者に「何年のが一番おいしかった?」って聞いたら、「八十何年の『レ・フォール・ド・ラトゥール』(「ラトゥール」のセカンドラベル)が一番おいしかった」って言ったんですって。
林:へぇ~、そうなんだ! そんなことってあるんですね。
稲垣:はい。年によってはセカンドラベルのほうがおいしくできちゃうってことも、なくはないことだよなぁと思って。
林:造ってる人が言うなら間違いない。いい話聞いちゃった。後でアマゾンで買っちゃおうかな。だけどワインの値段って、昔と比べてずいぶん高くなりましたよね。三十数年前にも、「ある大物作家のお中元はロマネ・コンティです」という話を出版社の人から聞いて、「偉い人はそんなに高いお中元なのか」って思いましたけど、今は1本100万円を超えるでしょう。そのとき、「林さんが直木賞を獲ったら、うちからロマネ・コンティをプレゼントしますよ」って言われて頂戴しましたが、今はないだろうなあ。