他人に明るさを求めながらも、私は今、暗い。今回は「少女像」のことを書こうと思っていたけれど、何度も筆が止まった。最近少しずつ「慰安婦」問題のことをこの場でも書かせていただいているし、発言できる気分でいた。でも、またこれで何年も前の厳しい空気に戻るのではないかと恐れている。改めて思うのは、「少女像」でなければ、ここまでの騒ぎにならなかっただろうということ。今回のことは表現の自由を奪う問題ではあるが、重大な女性の人権問題でもある。性暴力被害者を直視できない、女性の声を軽視してきた社会の病みだ。
もうこんなこと繰り返したくない。だから強く願う。女性の痛みの声が白いスーツに押し込まれるのも見たくないし、オジサン受けする中途半端な女性候補者も見たくない。本気で私たちの代表を出してほしい。私たちの代表だと信じられる、性差別と本気で闘える政治家を育ててほしい。男ばかりの永田町への、これは無駄吠えなのかもしれないけれど。
※週刊朝日 2019年8月30日号