暑い夏を盛り上げるテレビドラマ。昨今のテレビ離れを吹き飛ばすような、意欲的な作品が今クールは多いという。本誌連載でおなじみの漫画家でTVウォッチャーのカトリーヌあやこさんと放送作家の山田美保子さんが見どころを深読みした。
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──この夏のドラマの注目作品といえば「凪(なぎ)のお暇(いとま)」(TBS系)。空気を読みすぎる主人公の凪が、仕事も恋もリセットして、空気を読まず人生をやり直す物語だ。初回視聴率2ケタ発進で、メディアでも好意的に取り上げられた。
カトリーヌあやこさん(以下カトリーヌ):私の今期イチオシだな。(6畳一間のアパートで再スタートする主人公の)つつましい暮らし、地味な日々。そこにイケメンが登場して「大丈夫だよ」とハグしてくれる。こういうのが夏ドラにいいんですよね。夏は暑いから「無理はしたくない」というのが視聴者の心理。みんな休みたいんじゃないかな。“がんばらない”物語というのが一つのポイントですね。
山田美保子さん(以下山田):主演の黒木華が本当にうまい! 人気漫画が原作だから、最初はファンが「(イメージと)違う!」と指摘していたけど、初回ですでに不満の声は出なくなりました。
カトリーヌ:三田佳子扮するばあさんもいい! 古いアパートに住んでいる年寄りが、ちょっといいこと言ってくれる。「セミオトコ」(テレビ朝日系)も世界観が似ています。こちらは、アラサー女性がセミの化身のイケメン(Hey! Say! JUMP 山田涼介)と7日間を過ごす物語ですが。
山田:ただ、「凪のお暇」は主人公の元カレ役の高橋一生が……。
カトリーヌ:すっごく嫌な感じよね(笑)。でもそこが引っかかって見ちゃう。
山田:高橋一生が言い放つセリフに、女性スタッフが撮影中にドン引きしているとか。でも(主人公にふられて)号泣するシーンで、かわいいって思えた。思う壺ね(笑)。
カトリーヌ:原作ではもっと若いイケメンという設定だけど、ドラマでは高橋一生くらいのキャリアがないと演じるのが難しいと思う。ただの嫌なヤツになってしまう恐れがあるから。