※写真はイメージです (Getty Images)
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 参院選での与党勝利を受け、安倍晋三首相は改憲論議の進展に意欲を示し、野党は反発を強めています。「週刊図書館」の夏休み読書特集では、この機会に憲法について考えてみようと、絵本から専門書まで、様々な分野から、おすすめの3冊を選んでもらいました。

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■明良佐藤(大工)
(1)『復刊 あたらしい憲法のはなし』童話屋編集部編 童話屋 286円
(2)『図説 日本国憲法の誕生』西 修 河出書房新社 1800円
(3)『大工の明良、憲法を読む』明良佐藤 現代書館 1600円

 安倍晋三首相が憲法を変えると言い出して、印象として憲法はいいのに、なんで変えるのだろう?と、70歳になって、初めて憲法の条文をじっくり学んでみたら、びっくりの連続だった。

 その中で、最大のびっくりは、72年間、憲法は小・中・高校で条文としてしっかりと教えられていなかったこと。国の骨格である憲法を、これから主権者として大人になる若者たちに、なぜ自民党の長期政権は教えることを拒んでいるのか?

 第1の推薦本は、唯一文部省が憲法を教えようとして作った中学校1年用の教科書『復刊 あたらしい憲法のはなし』。憲法全体が、さし絵とともに、短く、わかりやすく解説されている。ただし、国民は憲法を守ること、と立憲主義に反することが書かれているのは、いただけないが。

 私が住む、ここ栃木県茂木町にも配られたが、教えられることはなかった。GHQが去って自民党政権になって、この教科書は使われることはなかった。なぜなら、政権に就いた自民党は、党是に自主憲法制定をうたった。つまり自民党はいまの憲法を教える気がさらさらない政党だからだ。

 2冊目は『図説 日本国憲法の誕生』。著者は改憲派の学者だが、この本はコンパクトに憲法の成立の中身を、写真を多用し、ビジュアル的にまとめていて生活者、素人にもわかりやすい。しかも何事も隠さず、大事な事実を書いている。

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