口にくわえた真っ赤なイチゴを押し付けた鏡には、滴り落ちる果汁の跡。木村カエラのニュー・アルバム『いちご』のカヴァー写真には思わずドキリとする。
『いちご』はデビューから15周年を迎えた木村の10枚目のオリジナル・アルバムであり、表題は15周年の“1”と“5”にちなんだもの。
2004年にシングル「Level42」でメジャー・デビュー。ファースト・アルバム『KAELA』はオリコンのチャートで8位を記録。3作目のシングル「リルラ リルハ」のヒットでその存在は広く知られ、以来、コンスタントにヒットを生み、セカンド・アルバム『Circle』はチャートの2位、サード・アルバム『Scratch』は1位を記録。限定復活したサディスティック・ミカ・バンドにフィーチャリング・ヴォーカリストとして参加し、話題を集めたこともあった。
15周年にあたって、“スクラップ&ビルド”が本作『いちご』のコンセプトになったという。これまで作詞は主に自身で手がけ、作曲は奥田民生はじめ男性アーティストとのコラボを主体としてきた。本作では3人の女性アーティストとコラボしていることに注目したい。
“5年前に新しいアーティストがたくさん出てきたときに、いいなと思う人がいっぱいいるのに、自分のプライドが邪魔をして頼めなかったの。そんな自分をダセーって思ったけど、やっぱり頼めなかった”と明かしている。“でも、今回、全部を取っ払った自分になりたいと思ってやっていて。プライドを捨てるまでに5年かかった”ことや“自分が認めたくないことを認めてしまうことが必要なんじゃないかって思ったんですよね”とも。
アルバムの幕開けを飾る「Continue」は、あいみょんの作詞、作曲によるスローなポップ・ロック・ナンバーで、じっくりと聞かせる。
その歌詞、木村カエラがこれまで歌詞にしたくても書けなかった“弱さ”や“迷い”を、あいみょんが書いてくれたという。“昨日の私”を振り返り“今の私”を歌ったもので、“おばさんになったこと”といった一節がある。