

漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「ノーサイド・ゲーム」(TBS系 日曜21:00~)をウォッチした。
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9月から日本で開催される「ラグビーワールドカップ」を盛り上げるために、「大泉(洋)動きます」てな感じの、このドラマ。
自動車メーカーの弱小ラグビーチームのGMとなった君嶋(大泉洋)が、経営戦略のノウハウを生かして、チームを再建していく。
なんせTBS系日曜9時枠で池井戸潤原作だから、展開はベタ中のベタ。君嶋の息子・博人(歌舞伎役者市川右團次の息子・右近)がラグビーに興味を持つと、小学生たちが口ぐちに言う。
「ラグビーってだせぇよな」
「(ラグビー教室)誰も来ないじゃ~ん」
倍返しするための、耐えて耐えての序盤だからなのか、各所でラグビー下げセリフの乱れ撃ち。
「俺、サッカーがいい!」
「FC東京は見に行くけど」
「人気もない、チケットも売れないじゃ……」
「おいタックルしてみろよ、よ~わむし、よ~わむし」
なんだこれ、「まんが日本昔ばなし」か。ラグビーはいじめられてる亀か。サッカーは悪代官か、隣のいじわるじいさんか。
この状況を打破するために、君嶋が番組後半45分くらいから、長ゼリフを語り出すわけですよ。
「この国からラグビーそのものが消えかかろうとしてるんじゃないか!?」
て、あれ? 「ワールドカップ」を中継しないTBSが、ラグビー盛り上げドラマ放映してナイスアシストって思ってたのに、なんだかずっと「ラグビー人気ない」て刷り込まれてる?
そんなラグビー人気アップの切り札は、相撲とボランティアで「家族」になろうよ大作戦。
タックル技術向上のため、相撲部屋でぶつかり稽古するチームに君嶋も参加。栃ノ心に投げ飛ばされ、ドラマ的にもツカミはOKだ。
選手たちは地域のボランティアに参加。小さなことからコツコツと頑張っていると、あら不思議。
スタジアムに人が詰めかける。あれは商店街の皆さん、肩を揉んであげた老人、病院で出会った闘病中の少年に定食屋のおばちゃん。
「ラグビーすげえじゃん」
サッカーがいいって言ってた小学生も、1時間で心変わり。早っ!
「タレント、社員を含めて全員が家族、ファミリーです」とか語ってたあの興業の社長さんも、まずは相撲から始めてみれば? 日曜9時だったら、世間の風も1時間で手のひら返しするかも。
※週刊朝日 2019年8月16‐23日合併号