松原:旧民主党が悪は官僚だ、埋蔵金もあると言ったのは、反省しないとどうしようもないですね。

御厨:そこが第一の反省点。民主党政権がつぶれたとき、官僚は使えると思った議員は全部、唾をつけておさえたんですよ。イデオロギー関係なく、各省庁はみんなやってましたよ。たとえば、辻元清美さんのところへは国土交通省のお役人はある時期まで通って、政策のご説明をしていた。

松原:辻元さんは国土交通副大臣をやってました。

御厨:ある国交省の官僚は辻元さんって社民党出身だけど、実務者としての能力は高いと言っていた。だから、自民党政権に戻っても官僚らはもう一度、政権交代があっても動けるように民主党の有望な議員らにも渡りをつけていた。だが、安倍政権が長く続き、官僚も離れていった。

松原:民主党時代に活躍した松本剛明(元外相)、細野豪志(元環境相)、長島昭久(元防衛副大臣)はみんな自民党へ行ってしまった。

御厨:自民党が一本釣りをしたわけだ。参院選で自民、公明、維新の改憲勢力で3分の2を割り込んでも、国民民主の議員らを一本釣りして足していけば、勢力は維持できますね。

松原:連立を組む公明党の存在感がなくなっています。

御厨:公明党は今、一番困っているんじゃないですか。要するに、もう独自性を発揮するところが何もない。自民党と組んで、いつの間にかドツボにはまって、自民党の言いなりになってやっている。

松原:維新の松井一郎代表が仕掛けた4月の大阪市長、府知事のW選で、公明党は自民党と組んだけど、完敗。負けた途端、参院選では維新にすり寄りましたが、これじゃ現場がついてこなくなるんじゃないですかね。

御厨:公明党の山口那津男代表はいろいろ取り繕うような発言をしているけど、この党は自民党から離れるなんてできませんよ。だって、20年も自民党と与党関係を結んでいるんだから。これはもう出られない。公明党は衆議院を抱えている限り、切り崩されもするし、自民党と組む必要が出てくる。楽になるためには衆議院を捨てるべきだ。昔のように参議院のみで戦えと言いたいね。衆議院でやった議案をもういっぺん、参議院できちんと議論するのがわが党の方針であるとやれば、それは迫力が出てくる。

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