森友学園、加計学園、自衛隊の日報問題、金融庁の報告書の受け取り拒否、財政審の意見書の言葉隠し……。公的な文書の改ざんや隠蔽は、書こうと思えばまだまだある。それがどんなに危険なことであるか。どんなに愚かなことであるか。
権力者への過剰な忖度もそうだ。この国は戦後、陸海軍や内務、外務、大蔵各省など、日本のあらゆる組織が公文書を焼いてしまった。当時の閣議でそうせよと決めたことだ。
その結果、戦争を美化するものや歴史修正主義者が生まれた。国が強いた個人に対する酷いことや、都合の悪い記録が消されたことは大きい。
今は、国のために血を流せと発言する政治家まで現れた。国のことをまず考えろと。統治するものにとってその考えが浸透するのは、楽に違いない。
そして、弱者は見殺しにされる。酷いことだと思っても、声をあげづらい世の中ができあがる。
※週刊朝日 2019年7月12日号