

[COVER STAFF 撮影/松永卓也(写真部)、ヘア&メイク/大島知佳、スタイリング/江島モモ、アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO、衣装協力/TADASHI SHOJI]

[COVER STAFF 撮影/松永卓也(写真部)、ヘア&メイク/大島知佳、スタイリング/江島モモ、アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO、衣装協力/TADASHI SHOJI]
キャンディーズ解散から41年ぶりに、伊藤蘭さんが歌手としてステージに戻ってくる。今度はグループでなく、ソロで。歌手活動再開に込めた思いを、イキイキと語ってくれた。
「私たちは、幸せでした!」
1978年4月。後楽園球場のステージで発したその言葉とともに、キャンディーズは解散した。
それから41年後の初夏。今は女優として活躍する“ランちゃん”こと伊藤蘭さんが、解散後はじめての歌手活動となる、ソロデビューアルバム「My Bouquet」をリリースした。井上陽水、阿木燿子、宇崎竜童、トータス松本など、豪華な作家陣が名を連ねる。
「はじめは、記念に一曲出すくらいにとらえていたんです。だけど、どんどん本格的なものになっていって(笑)」
キャンディーズ時代には、歌手としてのジレンマもあったという。
「いろんなお仕事をさせていただく中で、レッスンも十分にできないまま本番に臨むということも少なくありませんでした。私たちにとってそれがメインのお仕事なのに、準備の時間がとれないというジレンマ。私たちはコーラスグループ。ハーモニーを一番大切にしていました。コーラスでハモれて、それぞれソロもとれる。人数的にも音としても、最強だったなって思うんです」
久しぶりのレコーディング。最も違ったのは、「隣を見ても、誰もいない」ということだった。
「いつも二人がいてくれた。それは本当に心強いことだったんだなと、今さらながらに感じました」
キャンディーズでの歌手活動への思いが強いために、歌手としての活動を今まで遠ざけてきたのだろうか。
「歌に関して最高のものを残せましたし、これ以上のことは、もうできないだろうと、みんなが自然に思ったんじゃないかなって気がします。私は、そうでした。一人だけでは、あんな空気は二度と作ることはできません。だけど、そろそろやってみてもいい時期なのかなって。まさにアルバムタイトルの『ブーケ』のような、素敵な曲をたくさん作っていただけました」
歌は好き。プライベートでは、女優として活躍する娘の趣里さんと一緒にカラオケに行ったりすることもあるという。
「石川セリさんや、欧陽菲菲さん、あとは海外の曲をちらほら。そういうカバーを出すという手もありましたね!(笑)」
取材当日の時点では、夫で俳優の水谷豊さんに、まだ曲を聞かせていないと笑っていた。
「娘には『いいね!』なんて言ってもらってるのですが。この間、『もういい加減、聞かせなさい!』と主人に言われました(笑)」
6月11日の東京でのコンサートの会場は、東京ドームシティホール。後楽園球場に導かれたかのような邂逅だが、
「ファンの皆さんのほうが思い入れが強いかもしれませんが(笑)、41年間を超えて、同じ場所で同じ時間を共有できるなんて、想像もしていませんでしたし、それはすごく嬉しいことですね」
“普通の女の子”に戻った場所に、ランちゃんが帰ってくる。(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2019年6月14日号