Celestial Circle
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新鮮なライヴ情報と共に本作の魅力を伝えたい
Celestial Circle / Marilyn Mazur

 7月6日から9日に開催されたノルウェーの《コングスベルク・ジャズ・フェスティヴァル》を取材してきた。2003年以来8年ぶり、2度目の再訪は、前回建設中だった教会前の広場に2つの野外ステージが設置され、子供からお年寄りまで楽しめるフリー・コンサートが提供されるなど、規模が拡大していた。

 徒歩圏内にある14ヵ所の会場でプログラムが最も充実していたのが、丘の上のコングスベルク教会。ジョシュア・レッドマン&ブラッド・メルドー、チャールス・ロイド4tet、そしてマリリン・マズール“セレスチャル・サークル”を堪能した。マズールはグループ名と同名のECMデビュー作をリリース直後、というタイミングでの出演。4日間のフェスティヴァルの最期を飾る、深夜0:00からのステージだった。

 マズールはドラムセットと数多くの金属打楽器や壺を駆使し、ヴォイスも加える。英語詞のヴォーカルでは具体的に楽曲の世界を描写し、ヴォイスでは4番目の楽器として機能したヨセフィン・クロンホルム。美声はジャズ・クラブやコンサートホールとは異なる教会ならではのアンビエンス(空間の雰囲気と音響)を得て、魅力的に広がった。教会の効果と言えば、ジョン・テイラーのピアノの美しさも特筆もの。まるでオスロのレインボー・スタジオで聴いていると錯覚するほど、ECMライクなサウンドに感動を覚えたのである。終盤に進み、バンドの躍動的な演奏がグルーヴを生んだ場面が、当夜のハイライトになった。

 本作は同じメンバーが7ヶ月前にオスロで吹き込んだもの。ちなみにオスロとコングスベルクは電車で1時間という距離だ。NYで生まれ、幼少からデンマークを拠点にしてきたマズール、ECMとの関係が長く深い英国人のテイラー、スウェーデンの代表的ベーシストであるアンデレス・ヨルミン、スウェーデン出身でデンマーク在住のクロンホルムと、北欧コネクションが成立背景にある。

 教会ライヴでは最後に演奏した#1を皮切りに、即興性の強い#4、10や、器楽的歌唱とインストが溶け合う#3、8、12など、全体的には静かな雰囲気が支配する内容。ライヴを観てわかったのだが、アルコ・ベースで始まり、マズールが木箱に見える楽器をマレットで叩くとマリンバのような音が出る#9は、マズールの作詞・作曲としても興味深い1曲だ。来日の可能性が低いユニットだけに、新鮮なライヴ情報と共に本作の魅力を伝えられればと思う。

【収録曲一覧】
1. Your Eyes
2. Winterspell
3. Kildevaeld
4. Gentle Quest
5. Secret Crystals
6. Temple Chorus
7. Antilope Arabesque
8. Chosen Darkness
9. Among The Trees
10. Color Sprinkle
11. Tour Song
12. Drumrite
13. Oceanique
14. Transcending

マリリン・マズール:Marilyn Mazur(ds,per,vo) (allmusic.comへリンクします)
ジョン・テイラー:John Taylor(p)
アンデルス・ヨルミン:Anders Jormin(b)
ヨセフィン・クロンホルム:Josefine Cronholm(vo)

2010年12月オスロ録音

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