東京大の推薦入試や京都大の特色入試を突破した“スーパー合格者”。知識を詰め込む旧来の受験勉強のレベルを超えた異能の合格者たちの横顔を紹介する。
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最難関学部である東大医学部に合格した渡部由佳さん(洛南)が、医師を志したのは中学3年のときだ。
「京大医学部の先生の話を聞き、医学の研究で人の命を救える医師という職業は素晴らしいと感じました」
高校2年のとき、日本数学オリンピックで成績優秀者、ヨーロッパ女子数学オリンピックで銅メダル、そして高校3年には金メダルに。化学グランプリでも高校3年で銀賞を受賞するなど、輝かしい受賞歴を誇る。
「一般入試で東大理IIIを受験しようと思っていましたが、ヨーロッパ女子数学オリンピックで金メダルを取ったことで、推薦入試を受けたいと思いました」
面接では、数学の難問を解くときの実験、仮説、立証の思考過程が医学研究に生かせるとアピールしたと言い、「想像していたよりも和やかな面接でしたね」。
親戚ががんを患ったこともあり、分子病理学を学び、がんの研究医になりたいと思っている。
科学コンテストの受賞歴がある西幸太郎さん(ラ・サール)は、東大理学部に合格した。
野球を楽しみ、虫捕りに奔走した少年時代。中学受験の直前期以外は塾に通わなかった。文武両道で、中学時代は水泳部、高校時代は柔道部に所属し、生徒会長を務めた。
西さんが理科に興味を持ったのは中学2年。学校の図書室で手にした素粒子物理の本がきっかけだった。高校3年の夏には、物理チャレンジで金賞とJPhO(物理オリンピック日本委員会)理事長賞をダブル受賞。化学グランプリでも大賞を受賞した。
「好成績を収められたので、東大の推薦入試を受けることを決めました」
約30分の面接は、ほぼ物理の話だったという。
「大学教養程度の物理をどのように学んだか質問されたので、物理五輪候補用の教科書で、剛体の回転運動、マクスウェル方程式絡み、相対論などを学んだことを話しました」