日本はいま、総人口の28.1%が65歳以上の高齢者だ。長寿化が進み、社会は文字どおり「人生100年時代」を迎えている。この長寿時代に人生を謳歌していくためには、やはり発想の転換も必要だ。かつて世間で“当たり前”と考えられてきたことでも、考え方を変えていく必要性が出てくるだろう。
「性」に関することは、とかく高齢者と切り離して考えられがちだ。ある程度の年齢になったら、セックスになんて興味がなくなって当たり前。夫婦間でもセックスなんかしなくて当たり前。そんな先入観が、われわれの心のどこかに根付いているからかもしれない。男女にかかわらず、よくこういう言葉で自分たちの夫婦関係を表現する高齢者を見る。「うちはもう、とっくの昔に清らかな関係に戻ったから」。セックスのない夫婦関係は“清らか”。ということは、セックスを続けている夫婦はどこか“汚らしい”という意識の裏返しなのだろうか。
ジェクス株式会社からの依頼を受けて一般社団法人日本家族計画協会・家族計画研究センターが実施した【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2017の調査結果によると、やはり男女共に年代が上になればなるほど、セックスの回数は減っている。また全体では男性の36.8%、女性の45.2%がこの1年間セックスをしていないという結果が出ている。これはつまり、男性にくらべて女性のほうが性欲が弱いということの表れなのか。
「いえ、性的欲求というものは本当に個人によってまちまちなものです。男性だから非常に強い、女性だからたいして強くない、などと簡単にひとくくりに語れるようなものではありません。ただ、若いときは男性のほうが女性よりも顕著に表れます。それは男性の場合、性欲の源である男性ホルモン・テストステロンの分泌が10歳過ぎから上昇し、20代前半にピークを迎えるからです」
と、日本家族計画協会理事長で産婦人科医の北村邦夫さんは言う。だが、性欲行動は決してテストステロンの影響だけを受けるわけではない。