偏差値だけに頼る大学選びから脱却する兆しが見え始めている。就職支援や入学後の手厚い学習支援といったサポート面などから、「面倒見のいい」大学が評価され始めているのだ。
河合塾教育研究部は「学生がPDCAサイクルを回しながら、自律的に学習できるかを支援しているかが重要」という。そうした観点から、明確なカリキュラム、相談や指導を受けられる態勢、動画学習など教育インフラが整っているかを確認するのがポイントらしい。
例えば「面倒見のいい大学ランキング」で55位に入った神田外語大は、学ぶ姿勢を身につけられる大学として評判が高い。
母体は1957年に創設された外国語専門学校で、昨今重視されてきた「聞く・話す・読む・書く」の英語4技能の教育に早くから取り組んできた。同大の名物といえば合宿だ。入学時は大学生としての姿勢を学び、モチベーションが下がりがちな2年の終わりは、ねじを巻く目的がある。いずれも学長が参加し、ハッパをかける。
同大アカデミックサクセスセンターの長田厚樹センター長が「英語教育の集大成」と胸を張るのは、17年にオープンした「KUIS8」(クイス エイト)だ。ニューヨークの街ハイラインを模した空間は、大学施設とは思えないほどおしゃれ。個人やグループで利用できる学習スペースのほかカフェもあるが、注文はすべて英語だ。
常時10人ほどの学習相談専門の教員がいる。教員が個別に対応して、学習の姿勢が身につくと評判のコースもある。
「学内には習った言語を使える場所が多く、成長の実感が得られるようになっている。大学に来るのが楽しいと言ってくれる学生が多い」(長田センター長)
「面倒見のいい大学ランキング」には入っていないが、河合塾教育研究部は佐賀大の「ラーニング・ポートフォリオ」にも注目する。これは学習した情報をウェブ上で管理して学習支援するシステムで、河合塾教育研究部は「大学全体で継続的に取り組めている数少ない事例」と評価する。