歯科医院の看板に掲げられている「一般歯科」という名称。いったい、どのようなことをやる科か知っていますか? むし歯、それとも歯周病が専門? 標榜科からどうやって歯科医院の診療内容を見分ければいいのでしょうか? テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。
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医科の病院や診療所の看板には、内科をはじめ精神科や小児科、皮膚科、眼科など、診療科目を示した名称が掲げられています。これを見れば、患者さんはそこでどんな領域の診療を受けられるか、およそ見当がつくと思います。
これらは「標榜科」といい、病院や診療所などの医療機関が医療法という法律に基づいて、広告に表示できる診療科の名称です。医科では、34の標榜科が認められています。
では、歯科の標榜科はいくつあるでしょう。
「歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」の四つです。このうちの歯科を一般歯科として標榜している歯科医院が多いようです。
標榜科が厚生省(当時)の医道審議会で制定されたのは、1948(昭和23)年が最初です。このとき歯科の標榜科として最初に認可されたのは「歯科」ただ一つでした。「歯科医院=歯科」で通用する時代だったともいえるでしょう。当時、歯科医院といえばむし歯をはじめ、歯周病から入れ歯まで、子どもから大人の患者、すべてに対応する「何でも屋」でした。
ところが時代とともに、歯科も次第に細分化され、歯科医師は自分に興味のある分野を勉強するようになりました。そうした中、1978(昭和53)年に新たに追加されたのが矯正歯科と小児歯科でした。その後、1996(平成8)年、歯科口腔外科が追加されて現在に至ります。
矯正歯科、小児歯科ともに「歯科」という二文字がつきます。これらと区別するために、「歯科」を「一般歯科」と標榜するようになったのではないでしょうか(この名称については、国から特に問題視はされていないようです)。