米大統領選ではオバマ、ロムニー両氏で争われた12年、トランプ、クリントン両氏の16年で、両陣営の支持者たちが対立候補を攻撃する政治的ミームを量産。相手の発言や主張を極端に誇張し、皮肉やユーモアといったスパイスを加えることで、広く拡散された。
現在ではこうしたミームは、敵意を煽るデマ、陰謀論、ヘイトスピーチの蔓延にも重要な役割を担っている。事実であるかどうか、誰がどのような意図で作成したかもほとんど意識されることなく、面白さや怒りの感情に任せて広まっているのが実情だ。
トランプ米大統領は支持者が作成するミームがお気に入りらしく、たびたび自身のアカウントでリツイートして物議を醸している。先日も自身の批判者を揶揄(やゆ)するミームをリツイートして批判を浴びた。「猫」から始まったネット上のムーブメントがいまやトランプに力を与えている。誰からも愛される猫にとってこんな不名誉なことはないだろう。
※週刊朝日 2018年12月28日号