
9月12日、年内で芸能活動を引退し、プロデュース業やタレント育成に専念することを発表。13歳で芸能界入りしてから23年間、歌手として、俳優として、そしてアイドルとしてトップを走り続けてきた彼の決断に日本中が驚いた。引退への思い、最後の作品となるドラマ「連続ドラマW 孤高のメス」について聞いてみた。
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──「連続ドラマW 孤高のメス」は、俳優・滝沢秀明のラストを飾るのにふさわしい重厚な作品です。
こういうのって運命というか、めぐり合わせだと思うんです。たまたまこういったタイミングになって、制作サイドの皆様にもご理解をいただいて。とにかくいい作品にしようと、一生懸命取り組んでいます。
──「これが最後の作品になるのか」という感慨は?
そういう思いは、乗せてないです(笑)。皆様がたくさんの時間をかけて準備してくださったこの作品を、いい形で仕上げることが僕の務めだと思っていますから。あくまで仕事としてちゃんと向き合いたいと考えています。自分の個人的な感情は1ミリも乗せていません。
──滝沢さんが引退発表された9月、ちょうどこのドラマの撮影がスタートしたと聞きました。共演者やスタッフの方から、引退についての思いを聞かれたことは?
びっくりするほど、誰からも何も聞かれていません(笑)。医療ドラマということで緊張感のあるシーンが多く、みんなで必死になってやっている感じですかね。
──滝沢さん演じる当麻鉄彦は、「目の前の命を救いたい」という純粋な思いを持った非常に優秀な外科医ですが、まっすぐすぎるがゆえに不器用にも映ります。
僕は当麻のことを、不器用だとは思いませんね。周りが勝手に「もっとうまくやればいいのに」と思っているだけで、当麻自身はそれを求めてないからです。
──そもそも当麻は、「器用に生きたい」なんて思っていないと?
そうです。何をもって“器用”とするかは、その人次第だと思うんです。効率よく結果を出すことが器用なのか、多少自分の意志を曲げてでもみんなに愛されることが器用なのか。そういう意味で「命を救いたい」というのが当麻の願いですから、周囲からどう思われようと、それは彼にとって“不器用”にはならないと思うんです。