「まともになってほしいから。官僚は新しいことをやりたがらない。突っ込まれないように、わざとわかりにくい文書を作る。自分の省庁のことしか考えていない。あと半歩、そこから出て国のために働いてほしい。怒りをグーッと小さく押し込めておいて、小説にチョコッと出していくんです」

 月に数本の締め切りを抱え、原稿一色の日々かと思いきや、午後1時に仕事場に出勤すると、ジャズギターを練習したり、3Dソフトでフィギュアを作成したり。ときどき違うことをするほうが、効率が上がるそうだ。小説の展開は書きながら考える。

「先が読めないから、書いている本人もドキドキしています。ストーリーを考えるのは楽しいし、自分でも思わぬ結末になるのが面白い。それがなかったら小説なんて書けませんよ。アイデアが出たときのあの快感。もう、やめられません」

(仲宇佐ゆり)

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