県民投票は玉城県政の切り札だが、4日、米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市では、県民投票に反対する意見書を可決した。反対決議は、首長が安倍政権と近い石垣市に続き、2例目となる。宜野湾市や石垣市の有権者は、辺野古移設問題に対して意思表示の機会を奪われるのだろうか。
県民投票条例の制度設計に携わった、成蹊大学法科大学院の武田真一郎教授が両市の姿勢を批判する。
「市町村は県の条例で定められた投票事務を行う義務があり、県民投票に反対だからといって拒否できません。市が有権者の投票権を侵害することにもなります。投票が出来なければ、住民から損害賠償請求訴訟を起こされるのは必至でしょう。賛成の人も反対の人も意見表明ができるのだから、県民投票じたいは中立的なものです。それに反対するというのは、首長も議会も住民代表としての職務を逸脱していると言えます」
沖縄の民意分断を狙いながら、最初に土砂が投入されるのは、辺野古崎突端の南側の浅瀬だ。約6・3ヘクタールで、埋立て区域全体の約4%だ。
土木技術者の奥間政則さんがこう語る。
「もともと沖縄防衛局が作業ヤードにするため、先行埋め立てを計画していた区域です。面積は小さくても作業ヤードが確保されれば、資材がどんどん運ばれて効率的に埋め立てが進められてしまいます。反対運動をあきらめさせようとしているのでしょうが、そう思い通りにはさせません」
埋め立てによって、絶滅危惧種を含む5800種以上の生物が棲む豊饒な海が破壊されることになる。
前出の武田教授がこう警告する。
「国は使えないはずの行政不服審査法の請求で県の『埋立て承認の撤回』の効力を停止したのは、明らかに違法です。違法状態のまま埋め立てを強行すれば、損害賠償と原状回復義務が生じることになります」
土砂が投入されれば、沖縄と「本土」の溝はいっそう深まる。
来年2月には、米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」の期限も来る。政府が仲井眞弘多元知事の求めに応じ、14年2月を起点に「5年以内」と約束したものだ。だが、それも空手形でしかない。