高千穂峡など観光名所で知られる宮崎県高千穂町の山深い小さな集落で一家6人が惨殺された事件の謎が深まっている。
飯干保生さん(72)方で6人が殺害された事件で、県警捜査本部は29日、飯干さんの妻、実穂子さん(66)と、同居していた次男の知人で同県五ケ瀬町の農業、松岡史晃(ふみあき)さん(44)を司法解剖し、死因は失血死などだったと発表した。保生さんと同居していた次男の妻、美紀子さん(41)と次男の長男、拓海さん(21)、次男の長女で小学2年生の唯さん(7)ら4人の被害者も司法解剖を進めていくという。県警は6人全員が25日夜~26日朝に殺害されたと断定している。
一方、行方不明となっていた次男の昌大さん(42)の遺体が27日、現場から約2.5キロ離れた川で見つかっている。自殺とみられる。
「みな農家や林業で生計を立てている、田舎の集落でなぜこんな悲惨な事件が…」
近所の人は沈痛な面持ちで語る。
同月24日から25日にかけて昌大さんは勤務先の木材会社の慰安旅行に美紀子さん、唯さんと出かけていた。
会社関係者が語る。
「阿蘇への旅行を楽しみにしていたのか、集合時間よりかなり前に会社に来ていた。旅行中もトラブルなどなく、仲良く過ごしていた」
会社が異変を感じたのが11月26日朝だった。これまで無断欠勤がなかった昌大さんが連絡もなく休んでいた。
「何度も昌大さん、美紀子さんの携帯電話を鳴らしたが応答がない。不安だったが、会社から昌大さんの家まで1時間近くかかるので、警察にお願いした。昼ごろ、警察から『とんでもないことになっている』と電話がきて、驚くばかりでした」(前出・会社関係者)
殺害現場は凄惨なものだったという。
「(次男の)妻の美紀子さん、娘の唯さんは、首を絞められたようだ。母の実穂子さんや長男の拓海さん、松岡さんはナタで首が切り落とされ、周囲は血の海だった。6人を殺害したのは自殺した次男の昌大さんとみている」(捜査関係者)