気鋭の国際政治学者で、コメンテーターとしても、その発言がますます注目を集めている三浦瑠麗さん。選挙戦でのトランプ大統領の「女性蔑視」発言について、実は本意ではないとの見方を示しています。その狙いとは何だったのか、作家の林真理子さんがうかがいました。
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林:2年前のアメリカの大統領選挙で「トランプなんて泡沫候補だ」と言われたときに、三浦さんはトランプが勝つと予測してらっしゃって、それって木村太郎さんと三浦さんだけだったんでしょう?
三浦:いや、そうでもないです。票が1%動けば変わるという状況だったので、予測はできなかったですね。でも、メディアはトランプを分析することすら「インモラル(背徳的)だ」みたいなところがあって、それには私は強い反発を持っていたんです。そこにおもしろい素材があるのに、なんで見ようとしないのか。トランプは悪いところがたくさんあるけど、悪いところがあればあるほど、隠してるところは何だろうと思ってましたね。
林:トランプさんって、アメリカ人のイヤなところと結びついてるような気がするんです。人種差別的なところとか、銃規制反対とか、女性蔑視とか。そういう報道しか見てないだけかもしれないですけど。
三浦:あのときアメリカのメディアは、トランプさんの保守イデオロギー発言だけを取り扱って、彼がやろうとしている経済政策が、共和党の中では右というより中道寄りだったということをぜんぜん報道しなかったんですね。トランプさんはなんであんなに女性蔑視発言をするのか。ふつう、女性蔑視発言なんて得にならないじゃないですか。あれは明らかに計算して言ってるんですよ。
林:ほーお。
三浦:女性蔑視発言をすれば「おまえはリベラルだな」と言われなくてすむ。それで言ってるんだと思っていました。共和党の予備選挙で中道の経済政策を売り込むのは、本来ほぼ無理。だからこそ、カルチャーのほうでめちゃくちゃイヤなやつを演(や)った、というのが私の見立てです。
林:計算ずくだったんですか。