

漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、織田裕二主演のドラマ「SUITS/スーツ」(フジテレビ系 月曜21:00~)をウォッチした。
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アメリカで大ヒット中のドラマシリーズを原作とした本作。
勝つためなら手段を選ばないイケイケ弁護士・甲斐(織田裕二)と、とんでもない記憶能力を持つ青年・鈴木(中島裕翔)がコンビを組み、難題に挑む物語だ。
まず、悪友の依頼で替え玉受験や、麻薬取引の運び屋までやらされている鈴木くんを改名させ、他人の経歴を与え、成りすまし弁護士に仕立てあげる。
おい、それめちゃめちゃ犯罪なんだけど、全米的にはOKなの? しかしそんな無理矢理設定より、もっと無理矢理なのが、ドラマ全体に流れるアメリカンな空気なのだ。
本家を意識したのか、登場人物のセリフやリアクションがやたらバタくさい。織田のセリフ回しなんて、なだぎ武がやってた「ビバリーヒルズ高校白書」のディラン・マッケイのパロディーにしか思えない。
あのアフレコにありがちなタメだ。言葉の間に「ん」て、息はさんじゃうヤツだ。オフィスの前室にいる美人秘書(これだけでもアメリカン)に、おはようの挨拶と共にかます一言。ちなみに両手はズボンのポケットにつっこんだまま。
「今日の俺、(ん)どこが違う?」。知らんがな。そして、笑い声の前にもタメ。
「(ん)ハハハ、ダイス!」。大輔を「ダイス」って呼んじゃう。こそばゆいから、もうやめて。
秘書との会話に、すかさずぶっ込む小粋なジョーク。「(部下の採用)面接する意味あります?」と問う秘書に、織田はさらりと一言。
「じゃあ、俺のスケジュールにオフって書き込めるスペースあるか?」
えっ、何だって? 小粋がアメリカンすぎて笑いどころがさっぱりわからない。
もちろんボディーランゲージもアメリカン。ちっちっち。指振るよね。キュッ。肩すくめるよね。
「仕事の責任は自分一人で負う。(ん)それが私のやり方です」と、ビシッと言い放ち、胸の前で両手をパーに広げる織田。お前は、ロバート・デ・ニーロのモノマネ芸人か。
つくづく日本人とアメリカンの食い合わせの悪さを思い知る。せっかくここまでアメリカンなんだから、主題歌は今「U.S.A.」で話題沸騰のDA PUMPにしてほしかったよ。
「エス、ユー、アイ、ティー、エス。スーツ♪」ならダサかっこよさ満点。
※週刊朝日 2018年10月26日号