例えばサラリーマンなら、通勤でバスに乗らずに自宅から駅まで歩く。片道15分、往復30分をやや速歩きすれば約3500歩。職場でも会議や打ち合わせ、ランチなどで社内外を歩き回れば約3500歩。帰宅後も家の中で洗濯や料理の後片付けなどをすれば約1800歩。1日合計約8800歩にもなる。

 この世代はむしろ外出での歩数が多く、家の中ではあまり動かない傾向にある。これに対し、家にいる時間の多い高齢者の場合、例えば、「買い物」「掃除機かけ」「洗濯(干す・取り込む)」「庭の水やり」「料理と後片付け」など、なるべく立って歩くようにすれば、家の中でも1日約2千~3千歩は歩ける。さらに、社会との交流をなるべく保ち、外出する機会を多くすれば、外出で平均3千歩、合計5千歩以上になる。

「室内歩数を知るために、家の中でも歩数計をつけてみましょう。日常のすべての歩数を知ることが大切です」(新開医師)

 毎日8千歩を普通に歩いていた人でもやはり、退職後は歩く機会もなくなり、社会的な接点や交流もぐっと減る。結果、高齢になるとどうしても家にこもりがちになりやすい。

「高齢者の方で毎日たくさん歩いている人は、近隣に知り合いが多い、自宅周辺の道路環境も歩きやすく買い物もしやすいなど、歩くための環境に恵まれていることが多いです。一緒に歩く仲間がいることも大切。できるだけ1日1回は外出しましょう」(同)

 ただし、高齢者の場合は歩きすぎにより膝や腰を痛めることもあるため、無理は禁物だ。

「膝関節症などの持病があれば、無理はしない。ただ、まったく運動をしないと余計に症状が悪化するので、痛みがそれほど強くないときには歩くように心がけましょう」(同)

(ライター・石川美香子)

※週刊朝日2018年10月12日号より抜粋

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