
ヘアメイク/新井克英)
還暦を過ぎても今なお若々しい女優・大竹しのぶさん。作家・林真理子さんとの対談では、11月に4度目の上演となる主演舞台「ピアフ」(11月4日~12月1日 シアタークリエ)の話題で盛り上がりました。
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林:森光子さんは90歳近くまで「放浪記」をおやりになってましたが、大竹さんも「ピアフ」がライフワークになりそうですね。
大竹:いや、そんなにやらないです。絶対ムリ、それは(笑)。
林:2年くらい前の瀬戸内寂聴先生のエッセーの中で、先生が秘書の方に突然「あした(大竹さんの)『ピアフ』を見に行くわよ。いま行かないと見られないから、冥土の土産に」とおっしゃって……。
大竹:ほんとに次の日、見に来てくださったんです。
林:先生は、「なんでそんな年になるまで書くのか、と人は言うけど、書くことが私の人生なんだから、楽しくて仕方がない」とエッセーに書いてらっしゃいましたが、大竹さんにとっての芝居もそんな感じじゃないですか。「私は芝居オタクだから、稽古も楽しくて仕方がない」っていろんなところに書いてらっしゃるでしょ。
大竹:稽古も楽しいし、芝居の本番も楽しいんですけど、それだけをやっていたいとは思わないですね。やっぱり日常の生活とか旅をしたりとか、自分自身の楽しみがないとバランスがとれないなと思います。一年中ずっと芝居していたいかと言われたら、絶対イヤですね。
林:でも、インタビューで「お休みが取れたらどうしますか」って聞かれて、「60歳になったらしばらく旅行でもしたいけど、やっぱり芝居のことを考えちゃうんじゃないかな」とおっしゃってましたよ。
大竹:今のペースもそれはそれで幸せなんだけど、もう少し自分の時間を持ちたいなと思うんです。今まで年に3本ぐらいやっていた芝居を、来年ぐらいからちょっと減らしていこうかなとは考えていますね。
林:舞台は、どのぐらいの期間にわたってお稽古するんですか。
大竹:だいたい1カ月ですね。演出家にもよりますが、稽古は12時ぐらいから7時ぐらいまでが基本です。一本の芝居をやると稽古と本番を含めて2~3カ月はかかるから、3本やれば9カ月はとられちゃうんです。