恐竜学説との関連性については別掲記事を読んでいただくとして、監督は最新学説とは異なる部分もあると認めている。というのも近年の研究で、ティラノサウルスには羽毛が生えていたといわれているが、
「25年前にスピルバーグ監督が示した恐竜が、私にとってはリアルな原型です。学説のリアルさよりもそちらを優先しました。それに……羽毛があると全然怖くなさそうだし(笑)」
この“英断”のおかげで、ほんとに怖い仕上がりになった。(本誌・菊地武顕)
<最新学説と映画の幸せな関係>
『知識ゼロからの恐竜入門』などの著書もある「恐竜くん」が解説
■肉食恐竜が主人公を襲っている時に、しばしばティラノサウルスが登場し主人公が助かる場面があります。都合よく見えるかもしれませんが、ティラノサウルスはとても縄張り意識が強かったようで、自分の領域に入ってきた肉食恐竜(今作ではカルノタウルス)を襲うのは自然な行動。結果として主人公が助かったというわけです。
■今作で初めて登場するカルノタウルスは造形や動きがよくできていて、専門家の間ではシリーズの中で一番リアルだと評判です。
■海中に棲む大型のモササウルスが捕食するシーンがよく登場します。彼らが大食いだったことは間違いなく、胃の中に大きな魚、鳥、鮫、別のモササウルスが入っていた化石もあるほどです。
■プテラノドンの後頭部には長いトサカのようなものがついているはずなのに、映画ではほとんど見えません。というのも映画では遺伝子操作でメスしかいない設定。メスのトサカは短いものでした。
■パキケファロサウルスの仲間は頭突きをしていた、していなかったという論争が長く続き、2000年代になって頭骨のてっぺんの分析から頭突きをしていたと結論づけられました。今作ではスティギモロクがその説にのっとった動きをし、主人公を助けます。
■ヴェロキラプトルを爬虫類よりも鳥類に近い生きものだと考えれば、人間に飼育されることがあってもおかしくありません。鳥に対するのと同じように、人間を親だと刷り込みをするわけです。鷹匠と鷹のような関係ができると思います。
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