マスカラはツヤ感のある黒色が、アイラインは黒より柔らかい印象に見える濃い紫がなじみやすい。アイラインによって、目の輪郭をくっきりと見せ、ぱっちり感を取り戻すことができる。ここまでは、若いときのアイメイクと変わらない。シニアのアイメイクでやってはいけないことは二つ。ハネと囲みだ。
「目尻の“ハネ”は、シワに埋もれやすく不自然に見えるので、シニアは避けて。また、下まぶたまでアイラインを描くと老けて見えがちなので、上のみでOK。汗や涙、皮脂に強いタイプでパンダ目を防ぎましょう」(赤坂さん)
目の印象を強くしたいからといって、色は不要。アイシャドーは、色より質感で選ぶ。特にまぶたが重いと感じる人は、極力色を使わないほうがいい。パウダータイプより、クリームタイプのベージュやブラウン系で、ツヤが出るタイプを選ぼう。
ツヤ感を手っ取り早く取り入れるには、パールやラメ、グロスなどの輝きアイテムが有効だ。こうした流行アイテムは、ドラッグストアで売っているお手頃価格のコスメで十分。前出の山本さんの一押しは、写真の2アイテムだ。
「艶やかさは、今っぽさを取り入れる最大のポイント。こうしたアイテムは、若者向けの安いものが使えます。色より質感重視のアイテムなので、ベージュやゴールドなど、肌なじみの良いものから取り入れるのがお薦め。ワンコインで手軽に、今っぽいメイクが手に入りますよ」(山本さん)
最後の仕上げは、リップ。若い女性に赤リップが流行しているが、中高年は手を出してはいけない。血色を補うどころか、加齢に伴う口元の変化を不自然に強調してしまうからだ。
「リップもアイシャドーと同様、色よりツヤ感。マットなタイプより、ツヤが出るものを選んで。シニアになるほど、店では赤系を薦められることが多いと思いますが、血色感を自然に演出するには、柔らかい色のほうが、断然若く見えますよ」(赤坂さん)
仕上がりの確認には、拡大鏡を使おう。シワにファンデーションがたまっていないか、マスカラがにじんでいないかなど、細部まで確認してこそ、清潔感のあるメイクができあがる。
「拡大鏡は見えすぎるから嫌という人も多いですが、中高年になれば必携のアイテム。パーツを細かく見るのに欠かせません。細部にまで気を使うことで、ぐっときれいな見え方になりますよ」(山本さん)
また、メイクは、体が覚えてこそうまくできるもの。引き算メイクで外出する前に、家で何度か練習を重ねてみてほしい。時間がない外出前に、新たなアイテムを取り入れたり、いつもと違う手順でメイクすると、焦って失敗してしまいかねない。
「プロである私も、自分に新たなメイクを取り入れるときは、闇練が欠かせません。“あとは洗って落とすだけ”という夜のお風呂前などに、落ち着いて時間をかけてやってみて」(同)
この夏は、引き算メイクで、若々しさを手に入れてみてはどうだろうか。(本誌・松岡かすみ)
※週刊朝日 2018年7月13日号