「シミやシワを隠そうとする厚塗りメイクは、余計に老けて見えがち。トラブルを隠すことがメイクと思っている人も多いですが、大人のメイクで最も大切なのは清潔感。清潔感を出すために重要なのが、“引き算”のメイクです」
中高年向けのスキンケア&メイクを学ぶ「若創り学教室」を主宰する浅香純子さん。浅香流若見えメイク術は、テレビ番組などでも話題を集めている。加齢に伴う顔の変化をファンデーションを重ねて隠すのではなく、上手にメリハリをつけることで“目の錯覚”で目立たなくし、若々しさを演出するのがポイントだ。
「抜け感を出すことで、一気に今っぽい顔が作れます」(浅香さん)
まずは、今の自分のメイクを客観的に見直してみよう。ヘアメーキャップアーティストとして数多くの著名人のヘアメイクを担当し、第一線で活躍し続ける山本浩未さんいわく、大人メイクの基本は、白=明るい肌色、黒=瞳まわりの目力、赤=血色の3色のメリハリをうまく使いこなすこと。
「年を重ねるほど、この3色のメリハリがなくなり、顔全体がくすんだベージュっぽくなります。だから、3色のバランスがうまく取れているか、定期的に見直しをすることが大切です」(山本さん)
手に鏡を持ち、腕をしっかり伸ばして離れたところから、顔全体の中で3色のメリハリが利いているか、見てみる。
「腕1本分、離れて見ることで、全体のメリハリがわかりやすくなります。何となく肌がくすんでいるなと思ったら白を、血色が足りないと思えば赤を、目力が弱いと思えば黒を足してみる。こうやって、全体のメリハリを整えていくことが大事」(同)
だが、気を付けてほしい。メリハリのつけ方にもコツがある。肌色がくすんできたから、ワントーン明るいファンデーションを選んで、色白肌へ。若いころのようにアイラインで目を囲んで強調。血色の悪さは、赤いリップで払拭……。
実は、これらはメリハリをつけているようで、中高年がやりがちな老け顔を招くメイク。加齢とともに、メリハリのポイントも当然変わってくるのだ。
まず、引き算メイクの要となるのが、ベースメイク。大事なのは、ファンデーションよりも下地使いだ。
「日焼け止めのみ塗って、下地を塗らないという人も多いですが、中高年こそ下地は必須。くすみを明るくし、毛穴の凹凸を隠してくれます」(浅香さん)
ファンデーションを重ねるほどに、メイクは崩れやすくなる。薄ければ薄いほど、化粧崩れはしにくい。くすみ・シワ・毛穴などの気になる肌悩みは、ファンデーションだけでカバーしようとすると、塗りたてはきれいでも、時間がたつとシミやシワが目立ってくる。そこで、ファンデーション前の下地に頼ることで、薄づきで抜け感のある肌を作ることができる。
「下地を賢く使うことで、ファンデーションの量を2分の1にまで減らすことができます。日本人に多い黄ぐすみには、オレンジ系の下地、目の下のクマやくすみが気になるときには、ハイライト効果の高い下地を使いましょう。ただし広範囲に伸ばすと、顔全体が不自然に明るく見えてしまうので注意」(同)