そして、米国は北朝鮮にCVID、つまり、完全で検証可能かつ不可逆的非核化を要求しているが、リビア方式を取らないというのは、CVIDを緩めることになるのではないか。

 金正恩氏としては、非核化をできるだけ高く売りつけ、しかもできるかぎり先延ばしにしたいはずである。核を保有しているからこそ大国の米国と渡り合えるのだが、非核化したら単なる弱小国になってしまう。また、核がないゆえに潰されたイラクのフセインやリビアのカダフィのこともよく知っている。そんな金正恩氏にトランプ氏はどう挑むのか。

 8日には、ワシントンで安倍首相がトランプ氏と会談する。安倍首相は拉致問題とCVIDの目的達成をどこまでトランプ氏に迫れるのか。

 そしてトランプ氏は、北朝鮮の非核化とIAEA(国際原子力機関)の査察を受け入れさせるという決着をどこでつけるつもりなのか。大統領でいる間に決着をつける決意と自信を持っているのだろうか。

週刊朝日  2018年6月22日号

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?