しかし、あまりに厳格であるがゆえに、施行直後からさまざまな混乱が生じている。米主要紙のロサンゼルス・タイムズやシカゴ・トリビューンのニュースサイトは、GDPRへの対応が不十分であることを理由に欧州からのアクセスを遮断した。他の米メディアも欧州向けに個人情報を利用するウェブ広告を差し替えたり、広告のないクリーン版を用意したりしている。グーグルとフェイスブックは、サービスの利用に際して個人情報の提供を強制しているとして、GDPRの施行当日にプライバシー保護団体から提訴された。

 GDPRの本質は、ユーザーが自らの個人情報に強い決定権を持つという点にある。これまで個人情報を大量のお金に換えてきたプラットフォーム企業には、透明性を向上し、説明責任を果たして消費者の信頼を得ることが求められているのだ。ネット展開を進めたいマスメディアにとっても、影響は避けられない。GDPR実施でどのように世界が変わるのか、世界中の情報産業が固唾(かたず)をのんで見守っている。

週刊朝日 2018年6月15日号

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