資産総額、50億円のうち30億円を費やし、4000人の美女を抱いたと豪語した紀州のドンファンこと、野崎幸助さんが、5月24日に突然の「怪死」。
最大の謎とされるのは、野崎さんの遺体から検出された覚せい剤がどのような形で体内に入ったのか、という“トリック”だ。
野崎さんの死因は覚せい剤による「急性循環不全」と特定されたが、捜査関係者がこう明かす。
「解剖した結果、かなりの分量の覚せい剤を摂取していたことが判明した。通常、覚せい剤の中毒者が注射するのは0.5グラム程度。だが、解剖所見からおそらく数グラムを摂取していたようだ」(和歌山県警関係者)
だが、野崎さんの解剖結果から、注射痕、吸引した痕跡のようなものは見つからなかった。数グラムというかなりの分量の覚せい剤を摂取するには、口から体内に取り込むしかないという。
「胃など内臓からも覚せい剤の反応がありました。数グラムだから、鼻から取り込むのは無理。口から飲まされたのだろう。遺体の解剖から、一気に数グラムの覚せい剤を、飲んで急性的に症状がおかしくなり、死に至ったとみられる。もし少しずつ覚せい剤を飲んでいたら、肝臓などで分解され、死に至るほどの中毒症状はなかったはずだ。覚せい剤は非常に苦く、とてもそのまま口にできるものではない。野崎さんの好きなビールに入れて飲ませるようなことも無理だ」(前出の捜査関係者)
本誌が周辺を取材したところ、和歌山県警は野崎さんの親族や家政婦、従業員らに、「幸助さんがどんな食べ物が好きか、嫌いかとか、醤油をよくかけるか」など、細かく嗜好を聞いていたことがわかった。
その中で注目されるのが、野崎さんが日頃、健康のために愛飲していた栄養ドリンクの存在だ。
50歳代で脳梗塞を発症して以降、定期的に東京の有名病院で検査を受けていた野崎さんは健康のためと毎日、栄養ドリンクを飲んでいたという。
記者も和歌山カレー毒物混入事件の取材で野崎さん宅を訪ねた時、「ご苦労さんやね。まあ、これでも飲んで元気つけなよ」と栄養ドリンクを差し出されたこともあった。