真船佳奈(まふね・かな)/テレビ局内を歩くと多くの社員から声がかかる人気者。AD時代とはファッションも変わったそうだ(撮影/写真部・東川哲也)
真船佳奈(まふね・かな)/テレビ局内を歩くと多くの社員から声がかかる人気者。AD時代とはファッションも変わったそうだ(撮影/写真部・東川哲也)
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 ここ10年ほどで急成長してきたマンガの新ジャンル「コミックエッセイ」の多くは、作者が“私小説”のようにプライベートをさらけ出して人気を博している。作者本人はマンガで描かれているとおりなのか? 気になる“素顔”に迫った。

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【真船佳奈、テレビ局社員が描いた番組制作の裏】
テレビ局内を歩くと多くの社員から声がかかる人気者。AD時代とはファッションも変わったそうだ。そもそもテレビ局社員の真船佳奈さんが、なぜコミックエッセイを描いたのか。本人はそれを「棚ぼた」と言う。入社3年目に制作局に異動してADとして番組制作の現場を見ると、「毎日が驚きの連続。“コイツら、ヤバイ”って思ったんです。変なことばかりの番組作りの裏側を記録に残しておこうと趣味でマンガにしただけ。発表しようなんて思ってもいなかった」と真船さん。

 そのマンガを、上司でもあるプロデューサーがツイッターで紹介して注目された。すぐに編集者の目に留まり出版へ。だが、真船さんは弱り果てた。何しろ、マンガの正しい描き方がわからない。AD業務の殺人的なスケジュールのなか、ネットで描き方を勉強しながら描き続けた。

 早くも続編を望む声が多いが、真船さんはADではなくなってしまった。現在は「制作局以外の部署の人を取り上げて描くのはどうだろうかなど、構想中」という。

■どんな作品?
『オンエアできない!女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます』真船佳奈著 朝日新聞出版 本体価格1000円。一晩でドングリ600個を集めたり、男性の裸の下半身の映像すべてにボカシを入れたり……。テレビ制作の最前線で働く作者がAD時代に経験した、番組制作にまつわる悲しくも笑えるエピソードをマンガ化。現場ならではのトリビアも満載。

■プロフィール
真船佳奈(まふね・かな) 1989年、福島県生まれ。2012年、テレビ東京に入社。アニメ事業部を経て3年目に制作局に異動。ADとしてバラエティー番組を担当した後、ディレクターを経て、現在はBSジャパン編成局勤務

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