第67代横綱武蔵丸だった夫・武蔵川光偉さんと、フラダンス界の“横綱級”ダンサーだった妻・武蔵丸雅美さん。夫婦は5年前、名門・武蔵川部屋を再興した。現在は相撲部屋の師匠・おかみとして19人の弟子を預かり、厳しい勝負の世界で泣き笑いのにぎやかな日々を送る。今年で結婚10周年。陽気なハワイアン夫婦の愛情物語とは──。
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妻:出会いは、親方が現役の横綱時代。私は姉と親友とフラダンススクールを主宰していて、元大関でタレントのKONISHIKIさんのイベントなどで、バックダンサーもやっていたんです。
夫:いや、横綱になる前から知ってたよ。雅美、確かその辺にいたよ(笑)。
妻:眼中になかったのね(笑)。雲の上の人だったから最初は話したことはなかった。でも、ハワイが共通点で、親方も音楽や踊りが好き。いつしか横浜にあるフラのスタジオに練習を見に来るようになり、姉たちともすぐに意気投合して。気分転換に来てたのね。
夫:手首のケガで休場し、横浜の病院でリハビリしてて、近くにあったからな。
妻:私のほうから好きになったのかな。とにかく面白いんです。黙っていると近づきがたい雰囲気なんだけど、笑いのツボが一緒だったんです。
夫:それだけでほれたのか? 程度低いねぇ(笑)。
妻:いや、顔もですね、顔も(笑)。特に進展もなかったけど、私に対する気持ちが変わったかなと思えるのは、2001年のフラの大きな大会を見に来てくれた時。それまで教える私しか知らなかったから、頑張って踊っている姿を見てびっくりしたみたい。これで見直してくれたのかな。
夫:「お前たちが優勝しないとおかしいよ」というくらい見事な踊りだった。その時、優勝したんだよな。
妻:あなたは横綱だからいろいろと忙しかったし、私も30歳近くで、そう若くはなかった。「会いたい、会いたい」という思いが先行せず、求めないで待っていたのがよかったのかなぁ。
夫:とにかく俺は相撲が一番だった。「武蔵丸は女に興味ないのか」と言われるくらいだったから(笑)。
妻:私もフラをやって充実していて、「彼にいいもの見せてあげたいな」と思うようになっていきました。