財務省の決裁文書改ざんは、自民党はじまって以来の大事件だが、財務相の麻生氏に責任をとらせずに、内閣改造で外せば、クビを切るよりは傷が少なくてすむという狙いだ。

 内閣を出たら、今度は麻生氏がキングメーカーになる。麻生氏は森友事件のとばっちりを受けて、頭に来ている。本来は自分の問題というよりも、安倍夫妻の問題と考えているからだ。

 内閣を出ると、麻生氏は、岸田政権を担ぎ、安倍総理と岸田氏の決戦投票になれば、麻生派、石破派、かつて参議院のドンと呼ばれた青木幹雄元参院議員会長がたばねる「平成研究会」も岸田氏に乗るだろう。

 もし、岸田政権となれば、麻生氏が力を振るうことになる。麻生氏は大キングメーカーになれる。

 一方、総裁選出馬を明言している石破総理誕生の可能性もゼロとは言えない。

 安倍総理を支えていた者たちは一蓮托生で、岸田氏も同じ仲間と見られ、不利という向きもある。

 自民党内で「安倍下ろし」をひっぱるのが、前出の青木氏だ。自民党の「平成研究会」(額賀派)で、青木氏は親安倍だった額賀福志郎元財務相を会長から外し、後任に竹下亘総務会長を会長に据えた。

 これは青木氏が額賀氏に対して、安倍総理にいつまでくっついているんだ、もうやめとけと考えたからだ。石破氏を推すために額賀氏を切り、竹下氏を持ってきたとみられている。

 石破派は総勢20人だが、青木氏が後押しすれば、勢力は拡大する。

 小泉進次郎氏も安倍総理と石破氏をくらべれば石破氏を選ぶだろう。前回の総裁選で安倍総理と石破氏が戦った時には石破氏に一票を入れている。

 進次郎氏は政権の腐った部分に新しい風を吹かせられる存在だ。

 進次郎氏は3月1日、新しい若手勉強会「2020年以降の経済社会構想会議」をつくって、ひとまず30人も集めた。「進次郎派」の結成と見ていい。これからより膨らんでいくだろう。

 小泉氏が誰を推すか。その票が総裁選、地方の党員票、国会議員の1、2位の決戦投票にも大きく影響を及ぼすことになる。

(構成/本誌・上田耕司)

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