古巣での活躍やいかに……(c)朝日新聞社
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 イチロー(44)がシアトル・マリナーズ、上原浩治(42)が巨人と、ベテラン2人の古巣への復帰が決まった。マリナーズは“二刀流”大谷翔平(23)が入団したロサンゼルス・エンゼルスと同じアメリカン・リーグ西地区で、21歳差の両者の対決を“夢”と報じるメディアもあり、お祝いムード満点だが、違和感を禁じ得ない。古巣だからこそ過去が思い出されるからだ。

「イチローはマリナーズ時代の後半、チームメートから腫れ物扱いだったですからね」(ベテラン記者)

 そのイチロー。メジャー通算安打数が歴代22位の3080本で野球殿堂入り確実と言われるほど“記録の人”であることに異論はない。だからこそ彼は2001年から12年まで在籍したマリナーズ時代の07年ごろから「自分のことしか考えていない」「記録のためだけにやっている」とチームメートから批判され、敬遠されていたのは有名な話。

「そんな記憶があるからでしょうが、今回、イチロー復帰間近と報じられた直後、地元メディアの中には“なぜ私がマリナーズでイチローを見たくないのか”というコラムを書いた記者もいました。『(イチローは)変わったのかもしれないが』と断りつつ、『チームのことより彼自身のこと、彼の成績に常に関心を持っていると感じていた』『若手を引き上げるべきだ』と書いていましたね」(スポーツ紙デスク)

 イチローは復帰会見で「今マリナーズが必要としていることの力になれるのであれば、何でもやりたい」と語っていたが、“変身”できるのだろうか?

 一方の上原。そもそもメジャー志望だった彼が大学卒業時に巨人入団に至ったのは、親の仕事先にまでプレッシャーをかけられるなど無理やり翻意させられた結果、とも言われていた。「彼の巨人時代の象徴的場面がルーキーイヤー、1999年の涙です。松井秀喜と本塁打王争いをしていたペタジーニを敬遠する指示が出たときのことでした。その後も、先発からストッパーへの配転を打診されて断ったり、代理人による契約更改を求めたり、何かと反抗的で、巨人的な選手じゃなかったという印象です」(前出記者)

 とりあえず今季プレーする場が得られてよかった、という状況だろうが、本当につらくなるのはこれからかもしれない。(黒田朔)

週刊朝日 2018年3月23日号