「素直な心になりましょう」。何事にもとらわれず、ありのままに物事をみて判断しようという意味が含まれる。情報は多くある一方で将来への不透明感が高まる今の時代にこそ必要な姿勢かもしれない。

「人間は磨けば輝くダイヤモンドの原石」。これも、安易なリストラが横行する時代だからこそ、経営者には噛みしめてほしい言葉だ。人の無限の可能性を信じて、素質を磨いてあげ、人を生かしてこそ真の経営者だと幸之助は言いたかったのであろう。

 現在は働き方改革が叫ばれ、安倍政権が取り組む重要課題の一つにもなっている。幸之助は1960年の経営方針発表会で、すでに労働生産性の問題についてこう言及している。

「やがてわれわれは国際舞台で商売の真剣勝負をやらなければならなくなる。国際競争に打ち勝つためには、ひとりひとりが能率を2倍にも3倍にも上げ、欧米の一流企業と立派に商売をやって、一歩もひけをとらない、という姿にもっていかないといけない」(日本経済新聞「私の履歴書」)

 時代を読む慧眼には驚かされる。(敬称略)

週刊朝日 2018年2月23日号

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