「中高年のアイドル」、綾小路きみまろさんが作家・林真理子さんとの対談に登場。自然体で話されているのに、おっしゃる一言一言がおもしろくて、笑いが絶えない対談となったのでした。
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林:そもそもきみまろさんは、バスでブレークしたんですよね。漫談を吹き込んだカセットテープをダビングして、それを高速道路のサービスエリアで観光バスの運転手さんとかガイドさんに配ったんでしょう?
綾小路:ブレークのきっかけでしたね。ブレークしてからは宣伝しなくてもよくなって、ショーのチラシを旅行会社に持っていけばいいという時代がずいぶん続きました。ところが、高速道路のバスの事故があったでしょう。あれからバスツアーは激減しました。中高年は怖がって乗らないし、バス会社としても運転手さん2人乗せないとダメという規則ができて、採算がとれないんですね。
林:そうなんですか。
綾小路:今は徐々に回復して、1台か2台は来てるみたいです。それと、前はみんな他県からわざわざ来てたので、たとえば宇都宮でバスが40台とか50台来ても、宇都宮の人はぜんぜん来てなかった。今は、宇都宮とか甲府に住んでいる地元の方が、来てくれるようになりました。
林:ブレークして15年たっても、きみまろさんの代わりの人が出てこないですよね。芸人さんは次から次に新しい人が出てきますけど、きみまろさんに続く人がいない。
綾小路:偉そうですけど、中高年はホンモノが好きなんです。いいものが好きなんです。ワインでも日本酒でもそうです。加えて、大変失礼だけど、古典落語みたいに長い話はダメなんです。じっくり聞けないんです、眠くなっちゃって(笑)。
林:ハハハハ。
綾小路:機関銃のように攻撃していかないと、1時間起きていられないんですね。
林:きみまろさんの芸は、若い芸人さんがマネしようとしてもできないから、あと30年はいけますね。
綾小路:いや、いけないです。体力的に無理です。
林:20年は。