浅丘ルリ子(あさおか・るりこ)/1940年、旧満州生まれ。55年「緑はるかに」で映画デビュー。「男はつらいよ」のマドンナ役など、映画の代表作多数。80年以降は、蜷川幸雄演出作を中心に、舞台でも活躍。著書に『私は女優』(日本経済新聞出版社)など(撮影/関口達朗)
浅丘ルリ子(あさおか・るりこ)/1940年、旧満州生まれ。55年「緑はるかに」で映画デビュー。「男はつらいよ」のマドンナ役など、映画の代表作多数。80年以降は、蜷川幸雄演出作を中心に、舞台でも活躍。著書に『私は女優』(日本経済新聞出版社)など(撮影/関口達朗)
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「ルリさんは不思議な人だ」
 仲良しの近藤正臣さんは、浅丘ルリ子さんと芝居するたびに、芝居への取り組み方の違いに、感心するのだそう。

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「男なんてのは、大概がウジウジしてるから、芝居となると原作を読んだり舞台となった時代背景を勉強したり、いろんな準備をしてから入る。でもルリさんは何もしないのに、ホンの中から本質をポーンと掴んで演じることができる希有な人だ」と。

 浅丘さんには、“ウジウジ”が一切ない。原作ありきの作品に出演するときも、「原作を読んだことなんか一度もないわ。芝居のときに頼りにするのは、自分の感性と想像力だけ。私、余計なことするの、大っ嫌いなの」とあっけらかんと話す。

「『おんな城主 直虎』に出演しているとき、私、高橋一生に言ったんです。『あなたは頭がいいせいか、いろんなことをごちゃごちゃやりすぎる。もっとじっとしてなさい。映像なら、少しの芝居でもちゃんと拾ってくれるんだから』って。そうしたら、最後の出演回の3本ぐらい前から、すっごくよくなったの! 直虎に殺されるときの芝居も素晴らしくて、感動のあまり、観てすぐプロデューサーに電話しちゃった(笑)」

 今年は大河、倉本聰さん脚本で話題となった「やすらぎの郷」、秋には舞台の主演と大活躍だ。女優はよく、年齢を重ねるごとに役の幅が狭まっていくと言われるが、浅丘さんにはそんな通説は当てはまらない。

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