「いくつかあると思う。新しい環境に入って、その環境を知ろうと努力する面とか。ブラウン大学に入学した頃、新環境に置かれた私は、どうやって周囲に溶け込んでいいかわからずいろいろ努力した。その点に共通点を感じる。また人に好かれたいという願望があるあたりにも。20代初期の頃、私はあんな感じだった。人が自分のことをどう思うかすごく気になって、皆に好かれたい、人を喜ばせたいと思った。それをあまりに気にしすぎたがために、本当の自分を見失った。そんな一面も自分に共通していると思う」
──映画「ザ・サークル」の原作者であるデイヴ・エガーズ氏の本は読みましたか?
「『驚くべき天才の胸もはりさけんばかりの奮闘記』は読みました。私が読んだ本の中でも最高傑作に入る一冊で、すごく気に入った」
──今回の作品での大先輩トム・ハンクスとの初共演はいかがでしたか。どんなことを学びましたか。
「彼とはいろんな話をしたわ。なにしろ業界での経験が長いから、いろんな経験談が彼の口から聞けて勉強になった。俳優というのはとても難しい立場に立っている。自分ではどうにもならないことが多い。例えば脚本について意見が言えないし、編集に関わることもできず、撮影された自分の演技の中から好きな演技が選べるわけでもない。そんな環境の中でトムは俳優としての自分を望み通りに築き上げてきた。プロデュースも監督もする。彼は人の意見をオープンに聞き入れる姿勢を持っていると同時に、自分のやりたいことも明確で、それが自分にできると信じている。彼は自分らしさを持っていて、そんな自分らしいトムと一緒にいると、私も私らしい自分になれたの。一緒にいるだけで、自分の中から力が湧いてきたの」
──将来的にはあなたもプロデュースや監督をやってみたいですか?
「ええ、ぜひともやってみたいわ」
(高野裕子)
※週刊朝日 2017年10月20日号