私に運慶という仏師を強く印象づけたのは、興福寺の仏頭です。教科書の写真で見たことはあったのですが、実物に出会ったときには鳥肌が立ち、身動きできないくらいの衝撃を受けました。運慶の仏像は、すごい。
運慶の仏像は表現やポーズがダイナミックで、“生きている”仏様がそこにいらっしゃるように感じます。鎌倉時代に生まれた仏像が、現代に生きる私たちの目の前で今も“生きている”ように感じるんですよね。
そんな運慶という仏師にスポットを当てた展覧会があるのは素晴らしいことですし、慶派の仏像が一堂に会するのは本当に貴重な機会です。
音声ガイドで一部、運慶の声も演じています。とても光栄なことで、自分なりの運慶像をイメージしてみました。ぜひ、聞いてみてください。
仏像はどれも、それぞれのお寺で大事にされている仏様ばかり。展示会場で、お寺ではどのようにお祀りされているかを想像するのもいいですね。きっとお寺で、またその仏像に会いたくなります。
※週刊朝日 2017年10月6日号