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![KING RE-JAZZ SWING](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/9/8/240mw/img_98c9311ba3bda01b3ff04c66eb14ad6371507.jpg)
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私がDJで登場するさいはオールドファンにはおなじみのアニメ『サスケ』のテーマに「ジャズは夜。夜はジャズなのだ」という立木冬彦さんのナレーションを乗せたジングル(出囃子)から始まります。出囃子が流れるというのは、例えば野球選手がバッターボックスに向かうとき、リリーフでマウンドに向かうときのようにそれは気合いが入ります。『サスケ』の出自がジャズか否かというのはさておき、あの哀愁のメロディと高らかに歌うトランペットのハイトーンの音色は私のジャズの原体験なんじゃないかなーなどとも思ったものです。どこか大人びて妖艶で刹那いあのメロディ。『死刑台のエレベーター』に近いある種のメンタリティを感じるといったら大げさか。いずれにしても自分のジャズ感覚はそもそも間違っているので無視して頂きたいのですが、その出囃子のあと、DJの機会一曲目というのはその頃のタイムラインで一番気に入ってる曲をプレイすることが多く、しかし同時にそれはオーディエンスに対する自分の所信のつもりなのです。とはいえ「はて?どの曲をプレイする機会が多かったかな」とあらためてレコードバッグを覗いてみた次第というのが今回の趣旨というわけで。
最近では『Harold Mabern Trio/Fantasy』(Venus)が思い出される。大阪の弟子DJがプレイしていたレコードを強奪(いけません!)したもの。おなじみE.W&Fの名曲カヴァーで、ピアノトリオとは思えないアグレッシブで性急なアレンジはフロアを一気にトップギアに持っていきます。掴みはOKってやつですね。途中に機知に富んだブレイク展開がありリット、曲全体のドラマチックな構成も見事なのですがいかんせんフロアではそこでリズムを止めることができません。そこであっさり次の曲をカットインしてしまいますが、それはそれでジャズファンには申し訳ない掛け方ということになります。同じヴァーナス産では『David Hazeltine Trio/Senor Blues』というホレス・シルバー集から<Sayonara Blues>もターンテーブルに乗せる機会も多い1曲。
2曲共にオリジナル曲が広く知られている強みがあるので、本来ダンスミュージックとしては難しいジャズの食いつきにはそういった要素が有り難い。
少し前になると「和ジャズ」ムーブメントの啓発という意味も込めて『白木秀雄クインテット/プレイズ・ボサノヴァ』<デュー・ステップ>から入ることが多いようでした。テンポが早いのでそこからトライバルなハウスミュージックへ展開するとか色んな選択肢が取れた。特に大きな箱でプレイする時はモーダルな曲をじっくり聴いてもらえるような雰囲気ではないからそういう「求められている」場面に最適でしたし。そしてこの時代のキング・レコードの高い音質の技術力も特筆すべき。
残念ながら昨年鬼籍に入られてしまったエスビョルン(p)率いる『Esbjorn Svenson Trio/Spam Boo Limbo』もかなり活躍した。プレイするジャンルがジャズになって10数年、誰も知らないような旧譜を探すのに血道を上げる中、初めて夢中になったコンテンポラリーのジャズグループ。専門誌などではあまり語られる機会がなくて残念だったな。でも実は僕らが主戦としていたダンスミュージック誌などでは一部で高い評価を得ていて、作品がリリースされるたび特集なども組まれていましたよ。ドローン含む音響系、ミニマルなテクノ等ともリンクする指向が時代と合致した双方向性の音楽性故かと思いますが。本来CDしかリリースされていないのでこのアナログは、大阪のダブプレート製作会社に依頼して一枚だけ作ってもらったもの。
取材の機会にお会いしたさい本人達もびっくりしていたし、ちゃっかり3人のサインももらってしまった。世界に一枚しか存在しない大切なレコードです。
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