大塚家具の創業者の大塚勝久・元会長(74)。1978年に東京に第1号店を出し、日本を代表する家具販売大手に成長させた。長女の久美子社長(49)との経営権を巡る争いで2015年に会社を去り、高級家具販売の匠大塚を立ち上げた。その勝久氏はいま、久美子氏の大塚家具に「頑張れ」とエールを送る。
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実は大塚家具は苦境に立たされている。2月に発表した2016年12月期決算は、創業以来最大となる45億円の赤字。17年12月期ではさらに上回る63億円の赤字になる見通しだ。「無借金経営」を維持していたが、長年積み上げてきた内部留保も急速に減少している。長女の苦境を創業者はどう見るのか。
「これはもう、つらいですよ。ここに来ている半分以上が、大塚家具のお客さまです。それがつらいです。お越しいただけるのありがたいんですが、大塚家具がダメになってしまうというのは非常にさびしいです。うちにいる社員もそう思ってますよ。お越しいただけてありがたいですが、さびしい。やっぱり、頑張ってもらいたいです」
大塚家具が注力する中古家具を買い取って販売するリユース事業は、失敗だと指摘する。接客サービスについても「原点回帰」が必要だと訴える。
「ああいうリユースを始めるしかお客さまを求める方法がなかったんじゃないかと思いますが、一番やってはいけないことです。リユースは昔、(大塚家具に)いる時に、久美子と話したことあるんです。2020年の東京五輪が終わった後は、不景気になるだろうからそれも考えたほうがいい。その代わり、今まで大塚家具で売った商品だけ。そうすると買い替えしていただける。やるんだったら春日部に大きなリユースセンターを建てよう、と。そういう構想はありましたが、まだその時期ではないと思います。五輪前の今こそ富裕層がものを買う時なのに、どうして逆の方向に進んでしまうのでしょうか」
「接客方針も、商品の魅力をしっかり説明できる対面販売を重視していた、以前のやり方に戻すべきです。いつ久美子が決断するか。元に戻すしかないと思います。まだ今なら間に合うと思います」
家具業界ではニトリとイケアに勢いがあり、価格競争が激しくなっている。