運慶の代表作・制多伽童子像
運慶の代表作・制多伽童子像
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 日本が誇る仏師・運慶。その展覧会が東京・上野で始まった。運慶の彫刻を楽しむポイントはどこにあるのか、専門家に聞いてみた。

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「運慶の仏像は全体に肉付きがよく、写実的で今にも動き出しそうなのが大きな特徴です」
 そう語るのは東京国立博物館の浅見さん。

 日本で一番有名な仏師・運慶によると考えられる、現存する仏像31躯のうち、推定作を含めて22躯が集結する史上最大の運慶展が東京国立博物館で開催されている。

 運慶が活躍した平安時代末期から鎌倉時代は、貴族から武士へと政権が移り、特に東国の武士が仏像制作を依頼するようになっていた。武士には優しくたおやかな仏像より、運慶の写実的で力強い像が受け入れられ、武士が運慶の彫刻をもてはやしたことで、さらに大胆な像がつくられていった。

「運慶が手掛けた仏像は写実的に表現され、まるで生きているようです」(浅見さん)

 運慶が登場する以前は、正面を向いて、動きの少ない像が多い。一方、運慶の作品は腰を捻ったり、顔を斜めに向けたりと動きを表現している。さらに裳のひだも細かく表現され、非常に写実的だ。

 運慶の彫刻の技量は群を抜いていた。その後、弟子や影響を受けた仏師が同様の像をつくったが、残念ながらその完成度は運慶に及ばなかった。それだけ卓越した仏師だったのである。

 今回は彫刻のよさをより引き出す照明にし、仏像の置き方も、できるだけ近くで見られるよう工夫している。

「すべてではありませんが、後ろからも見られるように展示しています。前からだけでなく、横に行ったり、後ろから見たりと、360度で運慶の美を体中で感じてください。すると運慶の像が躍動するはずです」(同)

週刊朝日  2017年10月6日号