福山雅治さん主演、是枝裕和監督作品「三度目の殺人」が9月9日に公開される。勝ちにこだわる弁護士・重盛を演じた福山さんが、作品について、自身の仕事について語ってくれた。
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──是枝監督とは、「そして父になる」以来、4年ぶり2度目のタッグです。
この4年間、当然ですが是枝監督の作品はすべて拝見していました。「早く自分の順番が来ないかな」と思いながら。
──是枝監督も福山さんのライブに行かれるなど、交流があったそうですね。監督は大歓声を浴びる福山さんを見て「スターだな」と思ったと。
全然! オーディエンスからいただく多大なる応援と歓声によって、そう見えたんじゃないでしょうか(笑)。照明も当ててもらってますし。
──役所広司さん演じる容疑者・三隅と重盛が対峙するシーンは、非常に迫力がありました。是枝監督は「役所さんによって、福山さんをいじめてみたかった」とコメントされています。
それをいじめだとするならば、すごく気持ちのいいいじめでした(笑)。接見室に入るたびに、三隅はまるで違う別人のような顔を見せる。何も準備していないというわけではありませんが、僕はそれに反応することによって、自然と揺さぶられていきました。是枝監督は役所さんのことを「日本一うまい俳優」とおっしゃっていますが、一番いい席から、素晴らしいお芝居を見せていただいた、というような。
──作品はシリアスですが、福山さんは現場でムードメーカーだったと。
いえいえ、今回は満島真之介くんがいましたから(笑)。僕はただ、さまざまな世代の表現者の感受性やものの見方に触れるのが、楽しいんです。音楽の現場だと、だいたい決まったメンバーとやるんですが、お芝居の現場にはさまざまな世代の表現者が集まる。だからその人がどういう人なのか知りたくて、ついついインタビューしたくなるんです。
──重盛は三隅によってこれまでの価値観を揺るがされます。福山さんにとって、価値観を揺るがされた出来事とは?