焼きそば西武新宿線田無駅南口から徒歩数分の雑居ビルの地下にある老舗スナック。久本さんが「お父さん」と呼ぶ、マスター・福重正弘さんとの会話も楽しい。焼きそばは薄焼き卵が敷かれ、醤油で味付けしたおつな味。締めの一品としても人気。700円。ウイスキー700円~。税込み(撮影/倉田貴志)
焼きそば
西武新宿線田無駅南口から徒歩数分の雑居ビルの地下にある老舗スナック。久本さんが「お父さん」と呼ぶ、マスター・福重正弘さんとの会話も楽しい。焼きそばは薄焼き卵が敷かれ、醤油で味付けしたおつな味。締めの一品としても人気。700円。ウイスキー700円~。税込み(撮影/倉田貴志)
でんえん東京都西東京市南町5-6-18 イングビルB1/営業・12:00~17:00、19:00~翌1:30(昼夜共にカラオケあり)/休日・不定(撮影/倉田貴志)
でんえん
東京都西東京市南町5-6-18 イングビルB1/営業・12:00~17:00、19:00~翌1:30(昼夜共にカラオケあり)/休日・不定(撮影/倉田貴志)

 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、タレント・久本雅美さんが紹介するのはでんえんの「焼きそば」だ。

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 このスナックは中野の新井薬師にあった時代からの長年のおつきあい。私が24歳で上京したての頃、店の目と鼻の先にある風呂なしの小さなアパートに住んでいたんですね。ある日、たまたま先輩が飲みに連れていってくれたのがきっかけでした。

 今でもそうですが、とにかくアットホームなお店でしたね。当時はまだ劇団員の下っ端でお金もなくて……そんな私を見かねてマスターが「マサミちゃんは僕の娘みたいなもんだから、いつでも店に遊びに来たら」って言って飲み食いの面倒をみてくれた。いちばんつらい時代に支えてくれた、まさに東京のお父さんのような人なんです。

 その頃、好きでよく食べたのがこの焼きそばでした。一般的なソース味じゃなくて、さっぱりとした醤油味でお酒にも合う。今もたまに食べると、励ましてもらった言葉が懐かしくよみがえります。そして、マスターに喜んでもらえるような仕事をしていきたい、もっと頑張らなきゃと思う。それが娘としてのいちばんの親孝行ですからね。

「でんえん」住所:東京都西東京市南町5-6-18 イングビルB1/営業時間:12:00~17:00、19:00~翌1:30(昼夜共にカラオケあり)/定休日:不定

週刊朝日 2017年9月1日号