エレクトリック・ランデヴーズ
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驚異!チック・コリア~キース・ジャレット時代の発掘ライヴ
Electric Rendezvous (So What)

 世界でもっとも多くのライヴ音源を所有しているのはフェスティヴァル主催者やクラブのオーナーだが、たしか10年ほど前、アメリカ東西の「フィルモア」を経営していたことで知られるビル・グラハムの関係者が、グラハムが所有していたライヴ音源の一括買い手を探しているという噂を聞いたことがある。おそらくその企画が発展したのだろう、現在では「Wolfgang's Vault」なる公式サイトが、グラハムの遺産を中心に数々の音源やグッズ等々を紹介~販売している(ちなみにビル・グラハムはドイツ人で、本名をWolfgang Grajoncaという)。このCDの目玉にあたる4曲(1~4)は、そのグラハムがブッキングを担当したライヴ、場所はバハマのナッソー、会場はCBSレコード主催のコンヴェンションという設定。音源は先のサイトで公開(有料ダウンロード)され、それがオリジナル・ソースとなっている。したがってサウンドボード録音で文句なし。

 早速ナッソー・ライヴから聴こう。演奏時間は約26分、つまりは『マイルス・アット・フィルモア』のLP片面分を未編集で構成したようなもの。レパートリーと内容は、『フィルモア』や同時期の『タングルウッド・ストーム』をショート・ヴァージョンに凝縮、その圧縮感がたまらない。加えて前任サックスのスティーヴ・グロスマンが7月下旬をもって退団、よってこの8月2日のライヴは、おそらく新任ゲイリー・バーツにとって初のお仕事というドキュメント的価値もある。さあさあオープニングはお約束の《ディレクションズ》、おっとフェイドインだったかと一瞬カックンとなるが、高音質ならびに暴風雨のような熱い演奏に圧倒され、あれよあれよというまに異次元の世界にもっていかれる。そしてやってきました《ビッチェズ・ブリュー》、テンションが命の曲だが、本日はほぼ完璧、しかも短縮版とあってポップで聴きやすい。そこからチックとキースが大暴れの前衛ジャズ《ザ・マスク》に突入、この聴衆に対する天晴れな"裏切り"がじつに心地いい。次なるはラストの《スパニッシュ・キー》、マイルスが例によって鋭い串で突き刺し、新参バーツもふんばる。なお《ディレクションズ》と《スパニッシュ・キー》で2秒から数秒の音飛びがあるが、な~に気にしない気にしない。

 飛んで73年の2曲(5,6)は既発だが音質はまったくの別物。想像するにこの2曲のみ、ラジオ(衛星?)で再放送されたのではないか。ともあれ、この驚異的な音質は、同ライヴ音源の今後の展開(新装ヴァージョン)を示唆しているようで興味深い。

【収録曲一覧】
1 Directions (incomplete)
2 Bitches Brew
3 The Mask
4 Spanish Key-The Theme
5 Zimbabwe
6 Calypso Frelimo (incomplete)

1-4:
Miles Davis(tp) Gary Bartz (ss, as) Chick Corea (elp) Keith Jarrett (org) Dave Holland (b, elb) Jack DeJohnette (ds) Airto Moreira (per)

1970/8/2 (Bahamas)

5-6:
Davis (tp, org) Dave Liebman (ss, ts, fl) Pete Cosey (elg, per) Reggie Lucas (elg) Michael Henderson (elb) Al Foster (ds) Mtume (per)

1973/10/24 (Sweden)

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