大人気ドラマ「あなたのことはそれほど(通称・あなそれ)」(TBS系)は波瑠演じる29歳の主人公が中学時代の同級生とのW不倫の末、離婚という道に進む結末だった。現実ではいま、長く連れ添った夫を「あなたのことはどれほども……(通称・あなどれ)」と捨てる熟年女性が増加している。編集者でライターの赤根千鶴子氏がその実態を探る。
まあ何せ毎回、話題に事欠かなかったドラマ「あなそれ」。最終回では主人公・美都(波瑠)が夫・涼太(東出昌大)に「みっちゃんのことはそれほど」と言い放たれるシーンも話題に。美都は結局、“2番目に好きな人”として結婚した涼太の元に戻ることはなかった。
もともと“それほど”好きではない。もう“それほど”好きではない。そんな男との人生に見切りをつける生き方は、何もこのドラマに限ったことではない。
「50過ぎて旦那に抱いてもらえるだけでも、ありがたいと思えよ。おまえ、そこだけは勝ち組なんだぞ」
泥酔した夫のその言葉を聞いた瞬間、都内に住む山元美咲さん(仮名・54歳)の頭の中は真っ白になった。俺に抱いてもらえるんだから感謝しろ!? はあ!?
「夫が順調に出世できるように、私は専業主婦として今まで自分ができる限りのことをしてきたつもりです。夫婦で役割分担して、2人でがんばっていると思っていたから。でも夫は出世ラインからはずれてから、遊びにばかり精を出すようになって。遊び仲間と毎日飲み歩き、酔って帰ってきては私に悪態をついたり、頭をたたいたり背中を蹴飛ばしてきたり。それがもう何年も続いています。あげくの果てに『たまに抱いてやっているんだから感謝しろ』だなんて……。男って馬鹿(笑)。妻がいつまでも自分の手の内にいると高を括っているから、そんなこと言えるのね。私は息子が来年大学を卒業して社会人になったときに、離婚への一歩を踏み出します。ズルズル一緒に生きていく気持ちはないもの」(美咲さん)
沢田和子さん(仮名・62歳)はすでにバツイチ。美容関係の仕事をしている和子さんは、容姿も気持ちも若々しくパワフルだ。
「子どもを社会人として送り出したら、もうあとは自分の人生を楽しく生きていっていいんじゃない? 私は一番好きな男と結婚したの。でも、浮気されたり、私の貯金にまで手をつけられたりして。ある時点でこの男のことはもうどうでもいいって、心の中で切り捨てた。妻は何があっても耐え忍ぶなんて、もう昔の話じゃないかしら」(和子さん)